LF Decentralized Trust Member Summit 2024 参加レポート
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講演者：日立製作所 研究開発グループ 佐藤竜也氏?近藤佑樹氏 2024年12月17日開催 LFDT Tokyo Meetupで講演
![[C32] 正確でスピーディーな決断を促す、日立の高速データアクセス基盤～性能検証事例と活用効果～ by Taichi Ishikawa](https://cdn.slidesharecdn.com/ss_thumbnails/c32hitachihadbishikawa-131215205416-phpapp02-thumbnail.jpg?width=560&fit=bounds)
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- 1. LF Decentralized Trust Member Summit 2024 参加レポート LF Decentralized Trust Tokyo Meetup 日立製作所 研究開発グループ 2024/12/17 佐藤竜也 (Tatsuya Sato) 近藤佑樹 (Yuki Kondo)
- 2. 1 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. 1. イベント基本情報 2. LF Decentralized Trust Member Summit 2024 3. LF Decentralized Trust Maintainer Days 2024 4. おわりに Contents
- 3. 2 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. 1. イベント基本情報 2. LF Decentralized Trust Member Summit 2024 3. LF Decentralized Trust Maintainer Days 2024 4. おわりに Contents
- 4. 3 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. LF Decentralized Trust Member Summit & Maintainer Days 基本情報 ? LF Decentralized Trust (LFDT, 旧Hyperledger) Member Summit: LFDTのメンバー企業が一同に 会する年次総会で、キーノートでのコミュニティ概況や各メンバー企業からの取り組みが紹介される – LFDT発足後初のグローバルイベントとなる – LFDT内PJのメンテナ限定の招待制イベントであるLF Decentralized Trust Maintainer Daysも併催 今年はサンフランシスコの金融地区にて開催 10月21日 10月22日 10月23日 10月24日 Maintainer Days 対象: LFDT内PJ(Labs含)のメンテナ 参加者: 約25名 会場: Salesforce Tower Member Summit 対象: LFDTメンバー企業 参加者: 約100名(60社) 会場: San Francisco Mint 会場は旧造幣局 (物理マネー -BC-> デジタルマネー)
- 5. 4 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. 1. イベント基本情報 2. LF Decentralized Trust Member Summit 2024 3. LF Decentralized Trust Maintainer Days 2024 4. おわりに Contents
- 6. 5 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. Keynote Speech ? LFDT発足のねらい – 世の中の動きとして、Decentralized Systemの範囲がブロックチェーンレイヤからアイデンティティやトラストの レイヤに拡大しているため、それに合わせてコミュニティのスコープを拡大した。 – Decentralized Systemの技術開発には、OSSコミュニティが必要という考え方は、Hyperledger Foundationから引き継いでいる。OSSコミュニティが優先度の高いOSSをサポートすることで、OSSの価値を 高めることができる。 – セキュリティとトラストは似ているけれど違う。トラストには人間同士の関係性が加わる。XZ Utilsバックドア攻撃 では、攻撃者はOSS貢献で信頼を積み上げた後に、バックドアを仕込んだ。開発者の評判や信頼を適切に 評価するために、Decentralized Trust Systemが必要である。 ? LFDT発足に伴うコミュニティの変化 – 32のメンバー企業がコミュニティに参加(Mastercard, Citi, 香港金融管理局(HKMA), etc.) – LFDTの傘下に、Trust Over IP Foundation(ToIP)が移籍した。ToIPは、デジタルトラストのための標準 とアーキテクチャを策定している。 – 新規プロジェクトとして「Hiero」が追加された。Hieroは、Public LedgerであるHederaのコア実装をOSS化 したもの。オープンガバナンス、認知度向上、他プロジェクトとの関係性の醸成のため、LFDTに参加した。
- 7. 6 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. LF Decentralized Trust Vision Mapping ? 概要: – LFDTの将来像、課題、アクション、を議論するワークショップを実施。 – 全参加者が5-6人の小グループに分かれて、ファシリテータから提示された質問への回答を議論した。 – グループでの議論後、全体でのクロージングを行い、アハ体験があった人が自由に意見を述べた。 ? ディスカッション: – Decentralized および Decentralized Trustについて、コミュニティ内で定義する必要がある。 – LFDTのビジョンとして、標準仕様のOSS実装を提供することが考えられる。 – LFDTの発足にあたり、Trust Over IPが移籍してきた。Decentralized Trustに関連する他の標準化団 体とも連携したい(例: ISO, W3C, DIF)。 – LFDTスタッフやTAC(Technical Advisory Council)のリソースは限られている。LFDT傘下のプロジェクト が増えたとき、運営を効率化する工夫が必要(会議、議事作成、CI/CD運用、など)。 – LFDTの知名度を向上させるために、マーケティング活動が必要。
- 8. 7 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. Member Summit セッションダイジェスト: 失敗事例からの学び ? 概要: – エンタープライズ向けブロックチェーンアプリの商業的成功を阻む壁は何か？という問題意識を提起した上で、 過去事例に対する反省から得られた学びが共有された。 – 取り上げられた主な課題 ? 提供価値: 顧客とベンダのブロックチェーンに対する認識ギャップ、非ブロックチェーンの既存サービスと競合 ? 技術: ブロックチェーンエンジニアの教育コスト、ブロックチェーンシステムの外側に作り込みが必要 ? ビジネス: コンソーシアムの参加者がデータを提供するインセンティブ設計の難しさ、競合企業の存在 ? ディスカッション – メディアの掲載事例は成功例ばかり。ブロックチェーンの商用化を進めるためには、失敗に学ぶことが不可欠で ある。どの企業も失敗事例を話すことに躊躇するので、失敗からの学びをオープンにしてくれたことに感謝する。 – 解決策のアイデアとして、「政府主導のルール/仕組みづくりに寄り添う」「民間主導でマネタイズに成功したケー スを参考にする」が考えられる。
- 9. 8 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. Member Summit セッションダイジェスト: Tokenization, CBDC ? Tokenization – トークン化されたデジタルアセットの本番導入について、各社の取組と課題意識が議論された。 – 時間軸を短期と中長期に分けて、デジタルアセットサービスの開発を進めている。 – 短期: 小規模なサービスで成功事例を作る、サンドボックスを利用して素早く開発する。 – 中長期: トークンを活用して金融市場インフラのデジタル化と効率化をめざす。 ? CBDC – CBDCに関する各国の取組状況や課題が議論された。 – CBDCの基盤として、Hyperledger FabricとBesuが活用されている。 – プライバシ対策として、ゼロ知識証明の活用やデータ共有範囲の制御が行われている。その一方、個人のプラ イバシ保護と中銀の監督(アンチマネロン)との間でバランスを取る必要あり。 – 相互運用性について、様々な実証が行われている。(クロスボーダー決済、デジタルアセットの資金決済) – ステークホルダ間の議論を活性化するため、CBDCサンドボックスをOSSとして公開したケースもあり。
- 10. 9 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. Member Summit セッションダイジェスト: 非機能要件, 本番事例 ? ブロックチェーンシステム向け非機能要件フレームワーク – ブロックチェーンを活用したデジタルアセットの本番導入を進めるためには非機能設計が重要であるという問題意識 の下、非機能設計のフレームワークが紹介された。 – 非機能要件のカテゴリは以下の通り: ? ブロックチェーンシステムの本番事例と知見 – ブロックチェーンシステムの本番化に関して、各社の取り組みと知見が紹介された。 – 本番利用中の主な基盤としてFabric(性能、プライバシーに強み)とBesu(トークン系、Privateネットで利用)があがっていた。 – PoCから本番に移行する際の技術課題/KPIには、性能、スケーラビリティ、可用性などの非機能面があげられる。 参加企業が増えるにつれて、スケーラビリティや新規参加者のオンボーディングがより重要になる。 – 成功のためには技術だけではなく、ビジネス価値に焦点を当てつつFail Firstでスモールスタートから段階的に進める こと、規制への対応(必要に応じて当局との連携)、普及に向けてはUXも大事。 大分類 小分類 Resiliency Design for Resilient Capabilities, Operational Resiliency, Out of Region Recovery, Regional Availability Security Architecture, Data protection, Defense in Depth, Identity & Access Management, Secure Development Operability Client Focus, Measure & Instrumentation, Software Automation, Lifecycle Management Performance Performance Metrics, Performance Test
- 11. 10 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. 1. イベント基本情報 2. LF Decentralized Trust Member Summit 2024 3. LF Decentralized Trust Maintainer Days 2024 4. おわりに Contents
- 12. 11 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. LF Decentralized Trust Maintainer Daysの概要 ? 概要: – LFDT関連のPJ(Labs含)のメンテナ限定イベントで参加者は約25名(各PJメンテナ、LFDTスタッフ、TACメンバー) – イベントは議論を中心に構成されており、PJ間の連携強化やコミュニティ全体の活性化に焦点を当てたトピック (新規PJの紹介、PJ立上げ?運営のベストプラクティス、エコシステム)が主題だった。また、自由時間も多く確保 され、各自が積極的に議論やネットワーキングを行える場となっていた。 ? アジェンダ内訳: コラボレーション用の自由時間 (議論) コミュニティ活性化のためのディスカッション (プレゼン+議論) コミュニティツール?活動紹介 (プレゼン) PJ?テクニカルな取り組み紹介 (プレゼン) コミュニティ 活性化に 主眼 議論が中心
- 13. 12 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. Maintainer Days: Open Time for Collaboration ? 各自が積極的に議論やネットワーキングをする自由時間 – Wiki上のスケジュールに議論したいトピックを書いておいてもよいし、その場で決めてもよい ? 議論の一例: エコシステムマッピング – LFDT配下にはコア基盤から周辺ツールまで様々なPJがある。さらにはサブPJやLabsも存在。 → 各PJのエコシステムマップを作ることで、PJ間クロスコラボレーションや潜在的なメンテナ獲得に役立つのでは？ ? 既にFabric版のエコシステムマップがあるのでこれを参考に各PJ版を整備したい – 自由時間にみんなでInteroperabilityを題材にホワイトボードベースで議論 ? 結論としてまずはナレッジグラフを作るのがよさそう。ただし、作成コストをどう抑えるか、複数PJが関わるので メンテナンス?レビューをどうするべきかなど、 課題も多い → 今後タスクフォース化に発展？ エコシステムマッピング議論 議論内容: 1. 成果物イメージ 2. 段階的なゴール設定 3. ツール?プロセス案 4. 作成に向けた課題?懸念 ? 他PJのメンテナとF2Fで時間を気にせず議論でき る貴重な機会となった – 英語で議論しっぱなしなので消費カロリーは高め – ただし、顔が見えている分、英語ノンネイティブ的 には心理的負担は少ない
- 14. 13 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. Maintainer Days: その他?所感 ? テクニカルな取り組み紹介セッション: – 各参加者の取り組むPJのライトニングトーク(5分ずつ)。前述の新PJに加え、まだLabs段階の新PJも紹介あり。 – 今回は新PJ関係者やPJ連携を求めている方々がネットワーキングに期待して多く参加していた印象。 ? コミュニティツール紹介?コミュニティ活性化ディスカッション: – LFDTが提供するPJ/Labsメンテナ向けのリソースの紹介やインフラツールやベストプラクティスの紹介 – PJの活性化アイデアや新規コントリビュータ獲得の阻害要因はなにかなどの課題をざっくばらんに議論 ? PR投稿のお作法(GitHub + DCO)がわからずにギブアップする。その結果、Graveyard PRsが生まれている。 ? 貢献へのインセンティブがもっと必要では？→ アイデア: バウンティ + リファーラルプログラム ? 貢献に深いスキルセットが必要でコア部分は特に難しい。新しい人がどこから貢献すればよいかわからない → エコシステムマップ作成が有効？ – LFDTスタッフやTACメンバーも多く参加していたため、既存/新規PJの活性化やクロスコラボレーションの推進に向けた 議論が活発に行われ、コミュニティをさらに盛り上げようという意気込みが感じられた。 ? 全体を通しての所感: – 他PJのメンテナとF2Fで会話することで普段は聞けないような日々の苦労や裏話的な部分も聞くことができた。 – LFDT発足で新メンバーが入ってきて盛り上がっていた。さらなる活性化に向け日本からの積極的な参加にも期 待が寄せられている印象。
- 15. 14 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. 1. イベント基本情報 2. LF Decentralized Trust Member Summit 2024 3. LF Decentralized Trust Maintainer Days 2024 4. おわりに Contents
- 16. 15 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. まとめ ? LF Decentralized Trust Member Summitは有意義なイベント: – コミュニティメンバやLFDTスタッフと対面で会話する機会は、非常に有用。 – Decentralized Trustに関するサービスや技術を開発する上での悩みや気付きを共有できる。 – 来年のMember Summitには、是非参加をご検討ください。 ? LF Decentralized Trust Maintainer Daysは他のプロジェクトの状況を学びながらネットワー キングも行えるよい機会: – みんな新たなユーザやコントリビュータを獲得しコミュニティをさらに活性化させたいと考えている。 → ぜひ積極的なコミュニティ参加をご検討ください。
- 17. 16 ? Hitachi, Ltd. 2024. All rights reserved. Trademarks ? LF Decentralized Trust、Hyperledger、Hyperledger Fabricは、The Linux Foundationの商標または登録商標です ? GitHubは、GitHub Inc.の商標または登録商標です ? その他記載の会社名、製品名、サービス名、その他固有名詞は、それぞれの会社の 商標または登録商標です ? 本発表中の文章、図では、TM、?マークは表記しておりません