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日心シンポジウム2021働く人のための心理学：话题提供2
- 1. 若手の理学療法士?作業療法士の バーンアウトとセルフ?コンパッションの関連 水野 雅之 東京家政大学 子ども学部 子ども支援学科 日本心理学会第85回大会 公募シンポジウム 働く人のための心理学 (2) 支えてきた人を支えていくには 1
- 3. 仕事の場 有資格者数（2021年度） ?理学療法士 192,327人 （公益社団法人日本理学療法士協会, 2021） ?作業療法士 104,286人 （一般社団法人日本作業療法士協会, 2021） 3 理学療法士?作業療法士とは スポーツ団体 総合病院 福祉施設 リハビリテーション病院 特別支援学校 介護老人保健施設
- 4. 仕事の場 有資格者数（2021年度） ?理学療法士 192,327人 （公益社団法人日本理学療法士協会, 2021） ?作業療法士 104,286人 （一般社団法人日本作業療法士協会, 2021） 4 理学療法士?作業療法士とは スポーツ団体 総合病院 福祉施設 リハビリテーション病院 特別支援学校 介護老人保健施設
- 5. ?理学療法士?作業療法士を対象とした 職業性ストレスやバーンアウトに関する研究の報告が少ない （日置?井奈波, 2018; Pustu?ka-Piwnik et al., 2014; Scanlan & Hazelton, 2019; 和田他, 2020） ?バーンアウト： 極度の身体疲労と感情の枯渇を示す症候群 (Maslach & Pines, 1979) ※日本版バーンアウト尺度（久保?田尾, 1992） 情緒的消耗感：仕事を通じて，情緒的に力を出し尽くし，消耗してしまった状態 脱人格化：クライエントに対する無情で，非人間的な対応 個人的達成感の後退：ヒューマンサービスの職務に関する有能感，達成感の低下 5 理学療法士?作業療法士のバーンアウト
- 6. ?理学療法士?作業療法士を対象とした 職業性ストレスやバーンアウトに関する研究の報告が少ない （日置?井奈波, 2018; Pustu?ka-Piwnik et al., 2014; Scanlan & Hazelton, 2019; 和田他, 2020） ?バーンアウト： 極度の身体疲労と感情の枯渇を示す症候群 (Maslach & Pines, 1979) ※日本版バーンアウト尺度（久保?田尾, 1992） 情緒的消耗感：仕事を通じて，情緒的に力を出し尽くし，消耗してしまった状態 脱人格化：クライエントに対する無情で，非人間的な対応 個人的達成感の後退：ヒューマンサービスの職務に関する有能感，達成感の低下 6 理学療法士?作業療法士のバーンアウト
- 7. （e.g., Maslach et al., 2001; Schaufeli & Bakker, 2004） ?バーンアウトは年齢が若く，勤務年数が短いほど生じやすい ＝ 若手ほどリスクが高い ※先行研究等を参考に，臨床経験5年以内を若手と定義 7 バーンアウトの影響 職務パフォーマンスの低下 離職 健康問題 バーンアウト
- 8. Fig.1 バーンアウトに関するモデル。直線は正の関連を，破線は負の関連を示す。 バーンアウトに関するモデル 8 職務ストレッサー バーンアウト 職場環境要因 個人的要因 （田尾?久保, 1996）
- 9. 本話題提供で報告する研究 9 職務ストレッサー バーンアウト セルフ?コンパッション ソーシャル?サポート Fig.2 本話題提供で報告する分析のモデル。直線は正の関連を，破線は負の関連を示す。 水野雅之?菅原大地?谷秀次郎?吹谷和代?佐藤 純 (印刷中). 若手の理学療法士?作業療法士のバーンアウト傾向とセルフ?コンパッションの関連 心理学研究, 92.
- 10. 苦痛や心配を経験したときに，自分自身に対して思いやりの気持ちを 持ち，苦痛に満ちた考えや感情をバランスがとれた状態に保つこと （Neff, 2003a, 2003b, 2016） ? セルフ?コンパッション（SC）を構成する3つの要素と対となる要素 自分への優しさ 共通の人間性 マインドフルネス 自己批判 孤独感 過剰同一視 セルフ?コンパッション 情緒的反応 認知的理解 注意の向け方 10
- 11. セルフ?コンパッションとバーンアウト，ケアの質の関連 11 対人援助職の バーンアウト セルフ?コンパッション 抑制 医師 看護師 保育士 介護職者 ソーシャルワーカー (e.g., Babenko et al., 2019; 今北他, 2018; 水野他, 2020, 2021; Montero-Marin et al., 2016; Vaillancourt & Wasylkiw, 2019) ケアの質の高さ 抑制 予 測 (e.g., Poghosyan et al., 2010) (Gustin & Wagner, 2013; Sharma & Jiwan, 2015）
- 12. ある人を取り巻く重要な他者から得られる様々形の援助（久田, 1987） ? 上司や同僚といった職場内のサポートがバーンアウトを抑制 （e.g., Aronsson et al., 2017; Jackson et al., 1986; 久保?田尾, 1994; 贄川?松田, 2005） ? 臨床経験10年未満の理学療法士，作業療法士，言語聴覚士を対象とした研究 上司からのサポート バーンアウト （合計得点） ソーシャル?サポート 12 抑制 (岩月他, 2016)
- 14. 方法 調査対象者（Appendix） 就職後5年以内の理学療法士124名（平均年齢25.29歳, SD=1.59, 女性91名） 作業療法士 63名（平均年齢25.44歳, SD=1.60, 女性57名） 調査手続き 2020年2月にオンライン調査会社の保有するモニターを対象に回答者募集 ※オンライン調査における努力の最小限化の予防 ? 冒頭宣誓（増田ら, 2019） 倫理的配慮 東京家政大学研究倫理委員会の承認（審査番号:子2019-5） 14
- 15. 方法 調査内容 （1）セルフ?コンパッション尺度日本語版（有光, 2014） ※双因子モデルにおいて一般因子で説明される分散が90%を超える ? 合計得点を使用（Neff, Whittakar & Karl, 2017） （2）新職業性ストレス簡易調査票短縮版（川上, 2011） - 上司?同僚からのソーシャルサポート - 職務ストレッサー （3）日本版バーンアウト尺度（久保?田尾, 1992） 15
- 16. 結果と考察 パス解析 ? Fig.2を検討。有意でないパスを削除 ? 最終モデル（Fig.３） モデル適合度 CFI=.97，RMSEA=.09 ※職種を統制（ダミー変数） 16 Fig.2（再掲） 本話題提供で報告する分析のモデル。直線は正の関連を，破線は負の関連を示す。 職務ストレッサー バーンアウト セルフ?コンパッション ソーシャル?サポート
- 18. 18 セルフ? コンパッション 上司からの サポート 同僚からの サポート 職務 ストレッサー 脱人格化 -.28** -.25** -.30** -.25** 情緒的消耗感 個人的達成感の後退 .30** -.41** .23** -.18** -.16* .16* Fig3. セルフ?コンパッションとソーシャル?サポート，ストレッサー，バーンアウトの関連 注1）実線は正の関連，点線は負の関連を示す。注2）図の煩雑さを避けるため，共分散，ダミー変数からのパスは省略した。 ? 職務ストレッサーと バーンアウトに正の関連 - 過度な心理的?情緒的負担に よって引き起こされる （Jackson et al., 1986） - メタ分析においても確認され た関連 (Aronsson et al., 2017) = 理論的にも，実証的にも 整合性のある結果
- 19. 19 セルフ? コンパッション 上司からの サポート 同僚からの サポート 職務 ストレッサー 脱人格化 -.28** -.25** -.30** -.25** 情緒的消耗感 個人的達成感の後退 .30** -.41** .23** -.18** -.16* .16* Fig3. セルフ?コンパッションとソーシャル?サポート，ストレッサー，バーンアウトの関連 注1）実線は正の関連，点線は負の関連を示す。注2）図の煩雑さを避けるため，共分散，ダミー変数からのパスは省略した。 ? セルフ?コンパッションが職務ストレッサーと負の関連 - SCが高い人は困難の脅威度を低く，対処可能性を高く認知する（Chishima et al., 2018） - 保育士：SCとストレスは負の関連（水野他, 2020） - メタ分析においてSCとストレスとの間に中程度の効果量 (r=-.54) (MacBrth & Gumley, 2012) = 先行研究と一致した知見
- 21. 21 セルフ? コンパッション 上司からの サポート 同僚からの サポート 職務 ストレッサー 脱人格化 -.28** -.25** -.30** -.25** 情緒的消耗感 個人的達成感の後退 .30** -.41** .23** -.18** -.16* .16* Fig3. セルフ?コンパッションとソーシャル?サポート，ストレッサー，バーンアウトの関連 注1）実線は正の関連，点線は負の関連を示す。注2）図の煩雑さを避けるため，共分散，ダミー変数からのパスは省略した。 ? 上司からのサポートと職務ストレッサーと 脱人格化に直接的な負の関連 = 若手にとって指導的立場である 上司からのサポートが効果的
- 22. 22 セルフ? コンパッション 上司からの サポート 同僚からの サポート 職務 ストレッサー 脱人格化 -.28** -.25** -.30** -.25** 情緒的消耗感 個人的達成感の後退 .30** -.41** .23** -.18** -.16* .16* Fig3. セルフ?コンパッションとソーシャル?サポート，ストレッサー，バーンアウトの関連 注1）実線は正の関連，点線は負の関連を示す。注2）図の煩雑さを避けるため，共分散，ダミー変数からのパスは省略した。 ? 同僚からのサポートと 個人的達成感の後退とに直接的な負の関連 - 職務満足感が低くても同僚からのサポートがあると 仕事へのモチベーションが保たれる （小牧?田中, 1993） = 若手にとって同僚からのサポートは適応状態の維持?向上
- 23. パス解析のまとめ （1）セルフ?コンパッションが職務ストレスとバーンアウトを 低減する可能性 ＝ 先行研究の知見が若手のPT/OTにも適用可能 ? Compassion-Based Interventionによる介入の有効性が示唆 ?Mindful Self-Compassion (Neff & Germer, 2013) ?Compassion-Focused Therapy (Gilbert, 2010) ?Loving Kindness Meditation (Hofmann et al., 2012) （2）ソーシャル?サポートは提供者（上司?同僚）によって異なる機能 ※本研究は横断研究であり，因果関係を厳密に検討していない 23
- 24. PT/OTのセルフ?コンパッションを高めるには ? （コロナ禍以前より）医療現場は忙しい ? 養成課程（PT/OTになる前）での介入 ? Web-based（PC，アプリ）での介入（Eriksson et al., 2018; Mak et al., 2018） のような方法が有用であるかも？ 24
- 25. ? アプリ上で CBIに関する動画を視聴 ? 動画間でワークに取り組む - マインドフルネス - 慈悲の瞑想 - 思いやりの手紙 アプリケーションを用いた介入 25 筑波大学 菅原大地先生ご作成
- 26. 理学療法士 作業療法士 勤務経験（月数） Mean (SD) 40.44 (14.44) 39.97 (18.15) 勤務形態, n (%) 常勤 124 (100.00) 0 (0.00) 非常勤 62 (98.41) 1 (1.59) 婚姻状況, n (%) 未婚 100 (80.65) 53 (84.13) 最終学歴, n (%) 専門学校 52 (41.94) 16 (25.40) 短期大学 4 (3.23) 1 (1.59) 大学 65 (52.42) 46 (73.02) 大学院（修士課程） 1 (0.81) 0 (0.00) 不明 2 (1.61) 0 (0.00) 26 Appendix デモグラフィック変数