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Creative City Yokohama 金ゼミプロジェクト 夏合宿 ver 慶應義塾大学ものつくり学部 ( 銭谷 侑、宮村 周志、岸本 和也 )
本論文の目的 「次ぎなる創造都市」を模索すること。 その一つのアウトプットとして、 Creative City Yokohama に対し、「次ぎなる創造都市」の設計を提案していく。  最終的には、横浜以外の都市にも参考になる形で結論に導きたい。
本論文の進め方  本稿での進め方は、イノベーションを起こしている&創造的と思われる都市と企業 ( それぞれ異なる type だと思われるもの ) を 3 つずつ挙げ、 そこに 「なぜ、そこに Creative な人たちが集まるのか、どのように人々の Creativity が高められているのか」について本質的な要因を探り、それを「次なる創造都市」の設計に繋げて論じていく
本論文の進め方 ここで取り上げる都市は、ハリウッド? SOHO ?シリコンバレーであり、企業は Apple 、 3M 、 P&G である
ハリウッドの概要 アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市にある地区。 ハリウッドが映画制作の中心地として選ばれたのは「晴天が多いから」といわれる   映画のスタイル、制作形態、社会的背景という点からみると、 1900 年代以降のハリウッドは① 1900 年代~ 1940 年代、    ② 1950 年代~ 1970 年代、③ 1980 年代以降の3つに    区分される。
ハリウッドにクリエイティブな人が集まってくる要因   & クリエイティビティを高める要因 ① 自然的な要因(気候?地理的条件などの土着的な Asset ): 1990 年代~ 1940 年代 ② 制度(映画の制作スタイル)の要因   : 1940 年代以降
① 自然的要因 ハリウッドが映画制作の中心地として選ばれたのは「晴天が多いから」といわれる(初期の映画撮影はフィルムの感度、照明設備の質が低かったため、天候が重要だった)また、映画のためのあらゆる背景(ハイウェイ、高層ビル、街路、住宅、砂漠、産地、原野、牧場、農場、針葉樹林など)が存在する。
② 制度(制作スタイル)の変化による外的要因 映画のスタイル、制作形態、社会的背景という点からみると、 1900 年代以降のハリウッドは⑴ 1900 年代~ 1940 年代、⑵ 1950 年代~ 1970 年代、⑶ 1980 年代以降の3つに区分される。
  ②制度(制作スタイル)の変化による外的要因 ⑴ 1900 年代~ 1940 年代 ???「垂直統合スタジオシステム(略してスタジオシステム、スタジオ)」という制作形態をとった。映画制作企業が自前の資金調達のために、収益性の高い映画上映館を所有し、入場料(現金)を投資できる仕組みである。パラマウント、フォックス、 MGM 、ワーナーブラザーズ、 RKO が5大メジャースタジオと呼ばれ、ユナイテッドアーティスト、コロンビア、ユニバーサルの3社がミニスタジオといわれた。この時期は、大小の計8つのスタジオが垂直統合的な形態をとり、全米興行収入の 70% を独占し、寡占状態となっていた。その結果、寡占排除のために司法省が2度の訴えを起こし、 1949 年「パラマウント判決」において、映画制作において配給と上映を分離することが定められた。これにより、映画制作体系が代わり、 1950 年以降映画館の集客数が激減し、収益不振のスタジオの合併買収が行われた。
   ②制度(制作スタイル)の変化による外的要因 ⑵ 1950 年代~ 1970 年代 ???監督、スター、脚本家、独立のプロデューサーが、   ひとつの映画作品の制作に個人的に参加するようになった。安い制作コストでつくった若者向けの映画が中心で、ニッチ産業化し、集客数が激減していった。
    ②制度(制作スタイル)の変化による外的要因 ⑶ 1980 年代~ ???制作体制が変化し、集客数を盛り返した。『スター?ウォーズ』などのような、「ブロックバスター」と称される大ヒット映画が生み出された。小説や漫画の原作や、人気を博したテレビ番組などの内容を巨額の制作費を投じて映画化する手法が用いられた。また、大型予算を組み、テレビなどでの宣伝を通して前景気を煽り、制作から配給、上映、関連商品の販売までを総合した戦略によって収入を伸ばした。このことにより、映画産業がニッチから、総合的なイベントのような形態に変化した。大スタジオは、直属の上映館をもたずに、系列企業を迂回して、部分的に市場操作を行うようになった一方で、映画の配給権(どの地区のどの上映館でいつ上映するかを決める権利)を握り、大きな支配力を握った。配給権を後ろ盾として、上映館に対して利益配分を設定できたため、利益の最大化を行えた。金融と配給を握り、企画?制作を独立プロダクションに任せ、ブロックバスター作品を制作することで集客を取り戻した。
② 制度(制作スタイル)の変化による外的要因
② 制度(制作スタイル)の変化による外的要因 これにより、スタジオを中心にコングロマリット(多角的複合企業:例えばディズニーなど)が形成され、映画?音楽?テレビなどのメディアを水平的に統合し、映画部門については企画?金融?制作?配給を垂直統合し、資金と人材については垂直/水平を融通する、というし制作システムができた。従来的なスタジオシステムが崩壊し、以前大スタジオが抱え込んでいた人材が放出されたことで、映画制作に対して誰もが動員できるオープンなインフラが出来上がった。この時期から、映画制作の専門家は、職種ごとにユニオンと呼ばれる組合を組織し、それに加盟した。現在もユニオンの体制は健在であり、ユニオンへの加盟を認められたいという才能ある人材が世界から集まることで、ユニオンが人材のプールとなっている。
② 制度(制作スタイル)の変化による外的要因
SOHO の概要 マンハッタン島の下方に位置 19世紀中ごろはニューヨークの   中心地だった ?1970年代~80年代には  画廊街を中心とした芸術の  街だった ?現在は高級ブティックなどが並ぶ
クリエイティブな人が集まってくる要因   & クリエイティビティを高める要因    ①広いスペースが格安で利用できた    ②市当局による芸術活動の許可?奨励    ③アーティスト間のコミュニティの存在
① 広いスペースが格安で利用できた 1960年代にアーティストたちが本来は居住できない廃ビルに住み着き始める   (背景) ?50年代からの「ロフト」と呼ばれるムーブメント        ?19世紀中ごろ~20世紀初頭の建物が数十年     以上放置されていた    ?不況のあおりを受け、空きビル、空きフロアが増加  ->安くて広い SOHO に違法覚悟で住み始める
 ②市当局による芸術活動の許可?奨励 ?アーティストたちのコミュニティによる市への請願  内容??? SOHO はキャスト?アイアン(鋳鉄)による歴史的な建造物の集中する場所でもあったため、 SOHO を歴史旧跡地区に指定し保存するように請願(アーティストのスタジオ兼住居を許可するという項目も盛り込まれた) ->  1973 年に SOHO は歴史旧跡地区に指定された。このとき芸術活動の略歴と作品を提出してパスしたアーティストに居住許可が付与されるという仕組みを市当局は導入
③ アーティスト間のコミュニティの存在 ニューヨークという土地柄もあり、前衛志向の画廊やアーティストが集まる   ->コミュニティ内で互いに刺激しあう
SOHO の「凋落」 市の導入した仕組みは審査が不十分であったため、前衛志向の画廊などに混じって非アーティストである富裕層や不動産会社が大量に参入  -> 地価の高騰を招き、画廊やアーティストの流出を招く(北西のチェルシーへ中心地が移る) -> 現在は観光地向けの高級ブランド店やレストランなどが中心になり、画廊は一部しか残らず
Silicon Valley
シリコンバレーの概要 具体的には北はサンマテオ周辺からサンノゼまでの複数の市を指す。シリコンバレーの中心は、マウンテンビュー、サニーベール、サンタクララの 3 つの市であるが実際にシリコンバレーという都市は存在しない。元々メンロ?パークにあるスタンフォード大学出の技術者がヒューレット?パッカードなどのエレクトロニクス、コンピュータ企業を設立し、この大学の敷地をスタンフォード?インダストリアル?パークとしてこうした新技術の会社を誘致したのが始まりともいわれている。 シリコンバレーの生産性は、労働者 1 人あたりの付加価値で見みると、 2000 年には 12 万ドルを越え、米国全体の 8 万ドルを大きく上回っており、非常に高い生産高を保っている。また、シリコンバレーの人口の 40% 近くが外国人である。
   シリコンバレーにクリエイティブな人が集まってくる 要因&クリエイティビティを高める要因 ① 快適な気候と生活環境 ② エレクトロニクス技術の歴史 ③ 情報と人材の自由な動き ( 横のつながりを重視する社会ネットワークが充実 ) ④ 大学との連携 ⑤ ベンチャーキャピタルの存在 ( 失敗しても再挑戦が許される土地柄 )
① 快適な気候と生活環境    シリコンバレーの気候は、夏にかなり暑い日が続く事はあるが、  3月頃から11月頃まで、心地よい快晴の日が続く。雲のない空の青は濃く、   雨はほとんど降らずじめじめしない。    また、海や山にも近く、一年中アウトドア?ライフを楽しむ事ができる。   つまり気候条件が最高で、自然環境にも恵まれ、最適な仕事環境の   場所である。
② エレクトロニクス技術の歴史   トランジスタの発明者の一人であるウィリアム?ショックレーが    この地に「ショックレー半導体研究所」を設立し、更にそこから  インテルをはじめと する多くの半導体企業が生まれた。それに  ちなんでシリコンバレーと呼ばれるようになった。またハイテク 製品の調達先としてのNASAのエイムズ研究所など政府機関 が果たした役割も大きい。そのような歴史があり、近年ではソ  フトウェア?インターネット関連企業も同地区には多数生まれ、  IT 企業の一大拠点となっている。
シリコンバレーでベンチャー企業を支えるインフラとして機能している肢体は多く、それぞれに重要な役割を果たしているが、全体として一つの体のようになっている。一つの理由は、互いに深く係わっているというだけではなく、各セクターの間を人材が行き来しているためである。シリコンバレーという「人の動く土壌」は、クラスター全体として情報を共有していくために極めて効率的な環境と言えよう。この人材流動性自体が、シリコンバレーのインフラなのである。 ③ 情報と人材の自由な動き ( 横のつながりを重視する社会ネットワークが充実 )
④ 大学との連携   スタンフォード大学はいうまでもなくシリコンバレー発祥の地である。そして今も、シリコンバレーの新技術と創造的人材の供給源として重要な役割を担っている。スタンフォード大学とシリコンバレーは、「産学協同」というよりは「産学一体」ともいうべき状態にあり、教授、助教授が学生たちを引き連れて起業するのも日常茶飯事で、大学の研究費と大学の施設を使って作った技術をもとに、学生たちのグループが起業する例も数え切れない。  大学は新技術や創造的人材の共有源でもあり、また人脈社会の中心でもあるとも言える。
⑤ ベンチャーキャピタルの存在 ( 失敗しても再挑戦が許される土地柄 )   シリコンバレーでは次々に新しいベンチャー企業が生まれるのは、「失敗しても返さなくていいお金」つまりベンチャー?キャピタルからの資金で、産業が回っているためである。    ベンチャー企業の創業者たちは、手元の資金が尽きるまでの間に、アイデアを「大きな価値を現実に生み出す製品サービス」に作り合え、それを世に問うというゲームを始まる。もし、残念ながら、資金尽き、力尽きて倒れても、ベンチャー?キャピタルからの資金は借金ではなく、事業と個人の間には明確な一線が引かれているから、経営者の個人資産にまでその債務が及ぶ事が無い。「 Nothing to lose 」という精神があるからこそ、何の憂いもなく、思い切り冒険できるのである。
Apple 社の概要     ?本社所在地:カリフォルニア州クパティーノ     ?設立: 1976 年 4 月 1 日 ?代表 CEO :スティーブ?ジョブズ   ?売上高: 240.6 億 US ドル( 2007 年)   ?総資産: 154 億 US ドル( 2007 年)
クリエイティブな人が集まってくる要因   & クリエイティビティを高める要因   ①ものづくりにおける絶対指向   ②金のために働かない   ③企業理念の伝達におけるトップダウン型のマネジメント   ④トップの積極的な現場介入   ⑤常に「選択と集中」を行う   ⑥社員の自主性を重視   ⑦流通?販売までを視野に入れた販売戦略   ⑧偉大なコマーシャル事業の展開   ⑨社外に対する秘密主義 
① ものづくりにおける絶対指向 Apple の製品は、他社製品との比較を嫌い、全ての要素を本来のすがたに忠実にする、という考え方でデザインされている。「僕達はマックを誰のためでもない、自分自身のためにつくっている。われわれが問題にしたのは、そのマシンが素晴らしいかどうかであって、わざわざ市場調査しようなどとは思わなかった。」というジョブズ氏の言葉にもあるように、「徹底していいものをつくれば、それは絶対に売れる」という絶対指向的な信念がある。 それに関連して、研究開発には膨大な資金を投入する一方、タフな交渉によってコスト削減を行い、消費者が買いやすいプライスポイント(例えば、 199$ などのような大台にのる手前の価格)を必ず守っている。これには、目標となるプライスポイントを定め、それを目標としてコストを削っていく手法を用いている。
② 金のためには働かないという姿勢 CEO のスティーブ?ジョブズの年俸は 1$ である。その分のボーナスはもらっているとはいえ、「金のために働いているのではない」という姿勢を社会?社内に対してトップが明示している。また、 Apple は株主の意向に左右されるのを嫌い、 2005 年以降は株式分割をおこなわず、年次の株主総会においても、将来の製品計画については一切言及しない。
③ 企業理念の伝達における   トップダウン型のマネジメント スティーブ?ジョブズが復帰した、 1997 年のマックワールド   エキスポ講演後、ジョブズ自身が細かい就業規則についてのメモを全社員に送っている。 コスト削減について: ? 5 年ごとのサバティカル制度の廃止 ?ボーナスはアップルの株式に応じて支払われる(株価が上がるとボーナスになる) ?飛行機での移動は、 10 時間以下の場合エコノミークラス、 10 時間以上の場合は ビジネスクラス 環境整備について: ?全社屋の禁煙(現在でもこの規則は健在)
④ トップ( CEO )の積極的な現場介入 スティーブ?ジョブズ CEO は、社屋で見かけた社員に仕事の内容を聞き出し、対応が悪ければクビにした。また、製品のデザインに関しても、生半可な理由で取り付けられた製品情報は、ジョブズに「これは本当にいるのか?」と逐一問いただされる。例えば、 iPod の MENU ボタンについては、ジョブズは削る方法がある、と指摘したが、開発者が説得的に説明したことで搭載が決まったとされている。ジョブズは「 1000 の事柄について NO と言い続けることで、道を踏み外していないか、やりすぎていないかを確かめながらすすんでいる。」と述べているように、ジョブズ自らがプロジェクトについて、内容を問いただし、そのことで社員のクリエイティビティを引き出している。
⑤ 常に「選択と集中」を行う 1997 年にジョブズが復帰して行ったのは、生産ラインの 70% を切り捨て、有望な 30% だけを残した(プロデューサー用デスクトップ/ノートブックと、コンシューマー用デスクトップ/ノートブックの4種)製品開発プロジェクトに関しても、選択と集中の考え方によって、1チームの人数を絞り込む。スティーブ?ジョブズを含むチーフエグゼクティブが 7 ~ 8 人、製品開発リーダーが 7 ~ 8 人、その下に 7 ~ 8 人。チーム人数をあまり増やすとコミュニケーションの質が落ちると考えられている。
⑥ 社員の自主性を重視 社員は、自分がどのような能力をかわれて雇われたかを雇用契約時に把握している。そのため、自分で何をすべきかを判断し、行動する自立心を社員に要求する。仕事内容を丁寧に教えてもらえるような期間はなく、自主的に周りの社員に聞かなければならない。また、ノルマをこなしている限り、個人個人の社員にある程度の裁量権が認められており、重役陣とも活発に議論できる社風が整備されている。
⑦ 流通?販売までを視野にいれた開発戦略 製品開発だけでなく、流通し、顧客の手に渡るところまでを見直し、改良するために直営店事業戦略を行っている。全米 50 店舗、人口の 80% が車に 20 分乗ればいける距離にアップルストアを設置するのが最初の目標だった。 NY の SOHO 地区が第1号の路面点。続いて、シカゴ、ロスアンゼルス、パロアルト、銀座、心斎橋、名古屋。
⑧ 偉大なコマーシャル事業 ? 1984 年の「 1984 」 全米での視聴率は全世帯の 46.6% 、カンヌのグランプリ、 広告業界の賞を 30 以上受賞した。広告の目的は製品  そのものに負けないほどのメディアの関心をひく宣伝  効果を生み出すことにあるとしている。
⑨ 社外に対する秘密主義 Apple 社が新製品を発表する場は、毎年 1 月に開催されるマックワールドエキスポと、夏期の世界開発者会議が代表的であるが、その他にも、新製品を発表できる段階になったら、突発的に発表イベントを開催する。これは、展示会に合わせて、「春夏モデル」?「秋冬モデル」のような製品開発計画を立てる日本国内のメーカーとは対照的である。また、発表イベントまでは対外的に情報を一切公開しないため、イベントまでは内容が全く分からない。また、 Apple が新商品を発表する際、「 one more thing (あともう 1 つ)」がジョブズの口癖であると言われているが、このような示唆的な発言を行う事によって、うわさ話を喚起するバズマーケティング的な手法も用いられている。
3 M の企業概要 かつての社名???「 Minnesota Mining & Manufacturing Co. 」 現在???「 3M Company 」 ミネソタ州セントポール市に本拠地を置く世界的コングロマリット(主に化学、電気分野中心) ポスト?イット、スコッチ?テープなど革新的な商品を開発することで知られる。 発売されて4年以内の商品で総売上の30%を埋めなければならない「30%ルール」があるにも関わらず、毎年この基準をクリアし、売上高を伸ばし続けている。
3 M のクリエイティビティを高める要因 &クリエイティブな人が集まる要因 「スタートスモール?キルスモール」 -> 自発的な研究から成功しそうなプロジェクトを選び、正規のプロジェクトにしてからも徐々に経営資源を与える    2つのフェーズ  Ⅰ.アイデア?ジェネレーション?フェーズ    ①「 15 %ルール」  ②「 bootlegging 」  ③ 「 11 番目の戒律」  ④「失敗の許容」  Ⅱ .  ビジネス?クリエーション?フェーズ ① 「30%ルール」 ②「その他の財務指標」  ※両フェーズ      ①「 genesis plan 」 ②「 sponsor ship 」 インセンティブ面での慣習   ①「 award 制度」 ②「英雄伝」の共有
Ⅰ .  アイデア?ジェネレーション?フェーズ ?社員による非公式な研究プロジェクトのフェーズ ① 「 15 %ルール」 -> 勤務時間の15%は各自が興味を持つ研究に割く ② 「 bootlegging 」 -> 上司に無断で新製品の研究を進める ③ 「 11 番目の戒律」 -> 上司は、部下がやりたいというプロジェクトは基本的に研究を止めることが出来ない  ④ 「失敗の許容」 -> 社員が自発的に製品開発を進めた結果、それが直接経営に結びつかなくても、その社員が不利な扱いを受けることはない
Ⅱ .  ビジネス?クリエーション?フェーズ ?非公式なプロジェクトが発展し、社内で正式なプロジェクトになった後のフェーズ -> 規律と計画性が求められる ① 「 30 %ルール」 -> 売上高の 30% が最近 4 年以内に開発された新製品によらなければならない  ② その他厳しい財務指標 -> 自己資本利益率: 20 ~ 25 %、売上高利益率: 20~25 %、売上高成長率: 10~15%
両フェーズに共通 ?両フェーズに共通しているのは上にいる人間の協力に関する慣習 ① 「 genesis plan 」 -> プロジェクトを進めるのに所属事業部の予算では間に合わないときに、直接本社から予算を引き出すこと が出来る ② 「 sponsor ship 」 -> 身近なところでは身近な先輩、一番上では会社の経営陣といった自分より上の立場の人間が魅力的なプロジェクトの援助ならスポンサーとして動いてくれる
インセンティブ面での慣習 ① 「 award 制度」 -> 3 M のノーベル賞といわれる「カールトン賞」など個人向けやグループ向けの賞や奨励金が3 M 内には多く存在 し、仲間からの評価を目に見える形にしている ② 「英雄伝」の共有 -> 内部???具体例を示し、組織文化の共有に役立っている  -> 外部???3 M のイノベーション企業としての表明にもなる(->クリエイティブな人が集まる要因)
補足;90年代の改革① 80年代後半から90年代前半にかけて売上高の成長率が低下 ->① 既存製品の成熟化   ②経済のグローバル化による国際競争の激化 ③ 正式プロジェクトの失敗の多さ
補足;90年代の改革② 「かつての3 M への回帰」  -> 新的な商品を生み出す本質的なイノベーションを生み出す企業に戻る  ① 「ペーシング?プログラム」  -> 第一線の研究者からのアイデアを厳選?支援し、同時に見込みのないプロジェクトを切り捨てる -> 明確な目標に欠け、機能せず  ② 「ペーシング?プラス?プログラム」  -> 「成熟期には年間売上高が数十億ドルに達する」、「新規または既存の市場における競争の基盤を変える」 などの目標に基づき、研究開発部門のトップが選定し、その後も頻繁にチェックする ③ イメーションのスピン?オフ -> 画像関連部門がシリコンバレー型のビジネス?モデルであり、3 M のモデルと異なっているため ※① ?②有望なプログラムに力を注ぐことによって、インパクトのある製品開発のスピードを上げ、世界市場での競合企業に勝つ   ③長期雇用を重視するという強固な組織文化に揺さぶりをかけ、競争力を維持する重要性を再認識させる
P & G の企業概要 プロクター?アンド?ギャンブル社 (The Procter  &  Gamble Company) 、 通称 P & G は、アメリカのオハイオ州シンシナシティ市に本社を置く 世界最大の総合的なグローサリーメーカーである。 日本の競合メーカー花王と比較すると、売上高では花王の約 5 倍、 純利益では約 17 倍に達する。経営効率では、売上高純利益率で花王の 4 割近く、株式資本利益率は 6.3 倍になる。 過去 10 年間でアメリカに置ける広告支出額最大の企業に 7 回も ランクされており、 1998 年度の広告費は対売上比 10 %の約 37 ドル ( 約 3300 億円 ) にのぼる。
  P & G にクリエイティブな人が集まってくる要因 &クリエイティビティを高める要因 ① 高い人材教育 ② 個人の尊重 ( ダイバーシティの尊重 ) ③ ボーダレスで個性的なビジネス環境 ④ 360° 評価制度 ⑤ 自由な会話を促進 ( メモ、ポスターの活用 )
① 高い人材教育 「社員の能力」世界一と称される P & G は「人材輩出企業」として名高く、 P & G の OB が世界の名門企業で活躍している。 ① 内部昇進性の理念があり、社員の成長のための投資を惜しまない ② 入社一年目から大きな裁量権、豊富なビジネス経験   ex. 「たとえ失敗しても早く成長するし、長期的は会社にプラス」 ③ 責任および意思決定を下部組織に権限委譲することにより、全員をリーダーにする方法  ( 各ブランドを経営の最小単位と位置づけ、ブランドマネージャーがその経営の最高責任者にする )
 ② 個人の尊重 ( ダイバーシティの尊重 ) ① 仕事とプライベートのバランスを尊重 ② 企業理念として「私たちは、すべての個人を尊重します」掲げられている。「社員が個人として尊重され、仕事を楽しくやるためには、自分がやりたいと思う方向にいけるようにできるだけ制約をなくし、充実感を感じてもらうことが生産性を高めるという考え方が成り立っている ③ 年齢?性別?国籍による待遇の違いは全くなく、全ての報酬は個人のビジネスの成果によって決まる。 ④ フレックスアワー制度によってスケジュール管理も各個人に委ねられており、育児や介護を支えるための福利厚生も充実している。
③ ボーダレスで個性的なビジネス環境 ① 企業文化、価値観、そしてビジネスの展開状況を含めてすべてにおいて真のグローバル企業   ex. 様々な諸制度やプログラムシステムやデータベースも世界共通に標準化され、ある人材がどこの国に行っても、その日から効果的?効率的に仕事が進められる環境が整っている。同じトレーニングを受けて、企業の目的、価値観、仕事の進め方を共有することで、どの国の P & G で働いても、お互い何を考えているかもグローバルレベルでわかり、信頼感も生まれているという。国境を越えたビジネス環境で、自分の未知なる可能性を発見し挑戦することが出来る
④ 360° 評価制度    評価の公平性、納得性を担保する仕組みとして導入している。  被評価者自身が自分を評価してもらいたい人を指名し、最終的に直属上司の評価に反映する仕組みである。  しかし、あくまで部下の砲手を決定するのは現場のラインマネージャーであり、何より部下と上司の信頼関係があって成り立つという考えが背景にある。  常に変化する会社と社員の利害を一致させて行くために、信頼関係を気づく日々のたゆま努力がされており、内部競争力の活性化を促進させている。
⑤ 自由な会話を促進 ( メモ、ポスターの活用 )  メモを描く事は、 P & G の企業文化のなかで不可欠である メモは戦略的思考のテンプレートになり欠陥のある考えを露呈させ、優れた考えを輝かせる役割がある。また、メモは究極のコミュニケーション?ツールとしても役に立っている。 ※ P & G におけるメモという予後は、一般企業でのマーケティング提案書や市場情報報告書を指している。目的の明記、背景情報、提案、根拠がつながるように構成して書く事が徹底されている。  会議でも、メモ ( ポスター ) を使ったアプローチを行い、「目的の明記、背景情報、提案、根拠」がまとめられた一枚のポスターに、出席者全員があれこれ話す方法をとっている。ビジュアル化することにより、効率的かつ創造性を高める要因の一つとなっている。
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合宿以降の進め方 ? Creative な都市と企業についての調査を詰め、そこから抽出した、「 Creative な Environment を生む要因」を手がかりに、セグメーション ?創造都市横浜の現状との比較 ?反例についても調査する ?次なる創造都市のあり方を提言

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