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平成23年度后学期
    生徒指导論(理農工)
         08
       不登校+
    コミュニケーション実践

        富田英司
      愛媛大学教育学部

1
前回の课题
    ? 課題
     – 配布プリントを読み,いじめに関連した事象
       の区分とそれぞれの対応法について,自身の
       考えを述べてください.

     – 締切:今週の水曜日

     – 提出:submissionet@googlegroups.com

2
スケジュールについて
?   第7回 いじめ2,不登校1
?   第8回 不登校2,ワークショップ型授業の導入
?   第9回 カウンセリングマインド,ワークショップ型授業
?   第10回 生徒理解の手法,ワークショップ型授業
?   第11回 ワークショップ型授業(年内最後)
?   第12回
?   第13回 ゲストスピーカーによる講話
?   第14回 重要事項のふり返り
?   第15回 テストと解説



3
いじめへの対応
? 組織的対応
? いじめの発見
 – チェックシートやアンケートの活用
   ? アンケートによるいじめの発見は30%を占める
? 教師の態度
 – 教師もいじめを生み出した集団の一人である
? 被害者の保護
 – 被害者ケアが最初のステップ
? 加害者への指導
 – 家庭の問題や心の問題があることが多い
? 学級経営上の工夫
 – 特に傍観者への指導(傍観者はいじめを持続させる)
? いじめの予防
 – 情動制御,言語的文化の醸成,家庭環境,ネット環境
いじめ集団の构造
    (森田?清永(1986)を再構成)
            傍観者

            観衆

            加害者


            被害者
          いじめられている


          いじめている

           積極的是認

           暗黙的支持


5
心理学的アプローチによるいじめ対応
? 予防のためのプログラム例
 – アンガー?マネジメント
    ? 怒りのメカニズムの理解,怒りを静める技法,適切
      な表現方法
    ? 本田(2002) 『キレやすい子の理解と対応:学校でのアンガー
    マネージメント?プログラム』(ほんの森出版)

 – 共感性トレーニング
   ? 特に道具的攻撃を行う者に対して
   ? 自他の感情の認識,他者の視点理解,共感的関わり方
    例)セカンド?ステップ(Committee for Children)

? 起こってしまったいじめへの対応例
 – 支援グループ?アプローチ(Sue Young)
  ???ソリューション?フォーカスト?アプローチを応用した手法
支援グループ?アプローチ
        スー?ヤング(Sue Young)
? 考え方???『解決志向』
    – いじめを止めさせるより,望ましい行為を援助
     ? 協同作業により友情,共感,チームワークを促進
    – 加害者や被害者として扱わない
    – 原因に言及しない(解決志向)

? 被害者に尋ねること
    – いまつきあいにくい人は誰ですか
    – 他に誰が近くにいますか
    – 学校での友達は誰ですか

7
支援グループ?アプローチの手顺
    1. 被害者への面接
    2. 支援グループへの集団面接
      – 協力を依頼し,支援目標を設定
      – ?対象児が困っている。みんななら助けられる?
      – 具体的援助案と発案者を板書して整理
1週間
の間隔 3. 被害者への面接
      – 学校生活がどう良くなったか尋ねる
      – 状況の好転に自分はどう貢献できるか尋ねる
    4. 支援グループへの集団面接
      – 支援目標が果たせたかどうかは聞かない
      – 問題についての報告は求めない
      (問題解決まで反復:通常3週間程度)
8
怒りのメカニズム
    なぜ怒りをぶちまけるのか?
? キレやすい人に共通する重要な特徴
 – 自動思考
  ? ある出来事Aが起こると,次にBが来ると思いこみ
    ,それに対応した反応を即座に行ってしまう
 – 感情を思考の対象にできていない
  ? 自分の感情の理由を説明できない
  ? 適切なラベルになるような感情の言葉をしらない
 – 感情の幅や種類が豊かでない
  ? キレやすい人は「快」「不快」の区別が中心
 – 密かに不安なことを抱えている
  ? 自分の不安を周囲の出来事や人に投影してしまう
ワーク「感情のことばをふやそう」(本田,2002)
                   言葉をふやす
                   ためのワーク
課題カード(本田,2002)
 当番の子が押していた給食のワゴンがあなたの足に当
たってしまいました。あなたはどうしますか?
A) 「なにすんだよー。痛いじゃないか」とワゴンを蹴る。
B) 「ワゴンがぶつかって足が痛いよ。今度から気をつけて
   ね」と言う。
C) 何も言わないで保健室へ行く。

1.   子どもに選択肢の中から答えを選ばせる
2.   それぞれの回答について話し合う
3.   そのシーンを演じて,みんなでその台詞を言う
4.   学んだことを振りかえる
                  表現方法を知る
                  ためのワーク
いじめへの別のアプローチ
 ? 社会学者による提言
     – 学級制度自体をなくすべき(内藤,2009)
      ? 閉鎖空間では,誰もがおかしくなりうる
      ? 「いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか」講談社

 ? 評価観点の多様性を高める
     – 学校が特定の絶対的価値観を持たない
     – 多様な観点で人が評価される学校作り

 ? いじめに関する心理教育
     – 子どもにいじめのメカニズムを教える

12
不登校の現状
<不登校児童生徒数の傾向>
? 基本的に横ばい傾向が強い(ここ2年は微減)

<対応の変化>
? 働きかけ、かかわりを控えた待つ対応:文部省「学
  校不適応対策調査研究協力者会議」報告(1992)
             ↓
? 働きかけ、かかわりを持つ対応:文部科学省「不登
  校問題に関する調査研究協力者会議」報告(2003)
? スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカ
  ーの配置など教育相談の充実
文部科学省「平成21年度児童生徒の问题行动等
    生徒指导上の諸問題に関する調査」(確定値)




不登校児童生徒数は、小学校22,327人(前年度より325人減尐)、中学
校100,105人(前年度より4,048人減尐)の合計122,432人
(前年度より4,373人減尐)。
?小学校 0.32% (前年度0.32%)
?中学校 2.77% (前年度2.89%)
高等学校における不登校生徒数




15
文部科学省「平成21年度児童生徒の问题行动等
  生徒指导上の諸問題に関する調査」(確定値)

学年別不登校児童生徒数のグラフ
不登校となったきっかけと考えられる状況(確定値)

不登校の理由                    小学校                  中学校
いじめ                473          2.1%   2694          2.7%
いじめを除く友人関係をめぐる問題   2640     11.8%      19084     19.1%
教職員との関係をめぐる問題      706          3.2%   1562          1.6%
学業の不振              1540         6.9%   11041     11.0%
クラブ活動,部活動等への不適応    75           0.3%   2516          2.5%
学校のきまり等をめぐる問題      208          0.9%   4796          4.8%
入学,転編入学,進級時の不適応    714          3.2%   3853          3.8%
家庭の生活環境の急激な変化      2366     10.6%      5255          5.2%
親子関係をめぐる問題         4303     19.3%      9613          9.6%
家庭内の不和             1427         6.4%   4508          4.5%
病気による欠席            1975         8.8%   6601          6.6%
その他本人に関わる問題        9829     44.0%      43001     43.0%

17
中1ギャップ :2005年7月27日小学生から中学1年生
になったとたん、学習や生活の変化になじめずに不
登校となったり、いじめが急増するという現象。新
潟県教育委員会が名づけた。同委員会では2004年度
までの2年間にわたり、県下の中学5校の1年生約
1800人を対象に実態調査を実施している。05年3月
にまとめられた報告書によると、ギャップの典型例
は、コミュニケーションが苦手な生徒が小学校時の
友人や教師の支えを失う「喪失不安増大型」と、小
学校でリーダーとして活躍していた生徒が中学校で
居場所を失ってしまう「自己発揮機会喪失ストレス
蓄積型」であることがわかったという。
             (出典:闯补辫补苍碍苍辞飞濒别诲驳别)
「不登校」概念の変遷
? 60年代 「学校恐怖症」

? 70~80年代 「登校拒否」
 – 学校を恐れている場合だけでなく,自ら拒否し
   ているというケースが認識されるようになる

? 90年代以降 「不登校」
 – 登校を拒否しているだけでなく,学校に行きた
   くても行けないというケースが認識されるよう
   になる。
不登校の定義の変遷
? 「不登校児童生徒」の定義(H15 文部科学省報告書)
  – 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因?
    背景により、登校しないあるいはしたくともできない状
    況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や
    経済的な理由による者を除いたもの
? 学校教育法施行規則の一部を改正する省令(H17.7.6)
  – 第3 留意事項:不登校状態であるか否かは,小学校又
    は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の
    調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの
    参考となり得ると考えられるが,その判断は小学校等又
    はその管理機関が行うこととし,例えば,断続的な不登
    校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る
    も のであること。
最近の傾向①
? 「非在宅校内型」の不登校が増えた
 – 登校はしているが,保健室等に別室登校して
   いるケース
 – 従来の枠組みでは不登校に入らない


? 登校しているが欠席したい児童生徒が相
  当いることが認識されるようになる
最近の傾向②
? 「不登校は誰にでも起こりうる」
 – 「何が何でも登校すべき」という認識の低下
 →周囲も本人も冷静に対応できつつある

 →教師が真剣に対応しないという傾向も
  ? 不登校経験者の7割はその後普通に社会生活を送る
  ? しかし,残りの3割を見逃すことはできない
不登校への対応
 1. 文部科学省の方針

 2. 一般的な対応指針

 3. スクール?ソーシャルワークの導入

 4. 学校へ行かないという選択肢

23
不登校への対応にあたって
   (5つの視点)
 (文部科学省,2003)
不登校への一般的な対応指針(鈴木, 2002)
     ? 早期発見?早期対応を心がける
         – 兆候がみられたら,個別面接や情報収集
     ? 校内での協力体制の確立
         – 担任一人で解決しようと思わない
     ?   先入観を捨て毎回を初めてのケースと認識する
     ?   学校復帰?再登校を最終目標としない
     ?   登校刺激は無理強いしないが,徐々に根気強く
     ?   家庭訪問は午後や休日に短時間で
     ?   保護者への共感的理解?協力
     ?   専門機関との連携
     ?   登校を誘ってくれるクラスメイトの負担に気をつけ
         る,そのことについて本人の意向を聞く
25
滋賀県教育委員会
 スクールソーシャルワーク的学校不適応支援事業

 1. アセスメントとプランニングを重要視
 2. ケース会議の定期的開催
 3. B-PDCAサイクルの採用
     –   “B”:ベーシックアセスメント
 4. ベースシートの活用
     –   支援の共通認識や情報収集,記録作成,SSW概念の
         意識化に役立つ




26
ベースシート




27
滋贺県の不登校に関する统计




        学校不適応支援事業対象の
     40小学校における不登校児童の変化
                  H18    H19

28
     対象校の不登校児童数   157名   128名
アセスメントのポイント(伊部, 2008
             )
? 家庭環境:家族構成,保護者の性格?教育方針,親
     子関係,夫婦関係,経済状況,きょうだい関係,力
     のあるところ,援助を必要とするところ
? 学校環境:友人関係,教師との関係,学習状況,学
     校生活全般(休み時間,保健室,給食,各授業中,
     部活,登下校等)
? 地域環境:家族,本人を支える資源の有無
? 本人自身:学力?体力?運動能力,性格,好き嫌い
     ,こだわり,得意?不得意等,発育状況,日常生活
     (睡眠時間,起床,就寝時間,食事,入浴等),発
     達障害,虐待の有無,自尊感情,人への信頼感
29
スクール?ソーシャルワークの導入
スクール?ソーシャルワーカー
 (SSW)とは
 – 学校に関する問題を解決す
   るために,学校,児童生徒
   ,家族,地域,行政などの
   間を取りもつ役割
 – SSW自体は資格制度ではな
   いが,各自治体によって採
   用資格が決まっている
 – 非常勤として地方自治体な
   どから雇われることが多い
 – 指導主事などの教員がその    典拠:日本スクールソーシャルワーク
   役割を担うこともある      協会
                   http://www.sswaj.org/w_ssw.html
30
SSWの活動のレベル(鵜飼, 2008)
 レベル          視点             具体例

     ミクロ   個別事例の改善      子ども?保護者?教職員等に対す
     レベル                る相談?支援?情報提供

     メゾ    校内システムの構築    学校内におけるチーム体制の構築、
     レベル                支援
                        ケース会議の実施
                        教職員等への研修
     マクロ   学校を含めた教育行政   関係機関とのネットワークの構築、
     レベル   システムの構築      連携?調整
                        関係機関連携ケース会議の実施
                        自治体の相談体制作りへの関与

31
不登校への対応4:
     「学校」へ行かないという選択肢
? ホームスクーリング
? フリースクール
     – サポート型,適応指導教室,通信制,全寮制等
? 適応指導教室の活用
     – 市町村の教育委員会が設置,教員が実務担当
        – 松山市「松山わかあゆ教室」など
        – 登校日数としてカウントされる
     – 1992年から小中では校長の判断により出席扱い
      ? 「保護者と学校の連携が十分に取れていること」や「訪問で対
        面指導ができること」など
     – 2010年から高校でも一部出席扱いに
32
教育基本法
     (平成十八年十二月二十二日法律第百二十号)
(義務教育)
第五条  国民は、その保護する子に、別に法律で定めると
  ころにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2  義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する
  能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い
  、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的
  な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3  国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、そ
  の水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の
  下、その実施に責任を負う。
4  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育
  については、授業料を徴収しない。
33
学校教育法
     (昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号)

 第二章   義務教育

 第十七条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後
  における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の
  属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学
  校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満
  十二歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又
  は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満
  十五歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間
  において当該課程を修了したときは、その修了した日の
  属する学年の終わり)までとする。

34
今日の課題
 ? 教科書
     – 復習+発展 118~138を読む
     – 予習 104~107を読む


 ? 生徒指导提要
     – 第6章 第1節と第6節




35

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  • 1. 平成23年度后学期 生徒指导論(理農工) 08 不登校+ コミュニケーション実践 富田英司 愛媛大学教育学部 1
  • 2. 前回の课题 ? 課題 – 配布プリントを読み,いじめに関連した事象 の区分とそれぞれの対応法について,自身の 考えを述べてください. – 締切:今週の水曜日 – 提出:submissionet@googlegroups.com 2
  • 3. スケジュールについて ? 第7回 いじめ2,不登校1 ? 第8回 不登校2,ワークショップ型授業の導入 ? 第9回 カウンセリングマインド,ワークショップ型授業 ? 第10回 生徒理解の手法,ワークショップ型授業 ? 第11回 ワークショップ型授業(年内最後) ? 第12回 ? 第13回 ゲストスピーカーによる講話 ? 第14回 重要事項のふり返り ? 第15回 テストと解説 3
  • 4. いじめへの対応 ? 組織的対応 ? いじめの発見 – チェックシートやアンケートの活用 ? アンケートによるいじめの発見は30%を占める ? 教師の態度 – 教師もいじめを生み出した集団の一人である ? 被害者の保護 – 被害者ケアが最初のステップ ? 加害者への指導 – 家庭の問題や心の問題があることが多い ? 学級経営上の工夫 – 特に傍観者への指導(傍観者はいじめを持続させる) ? いじめの予防 – 情動制御,言語的文化の醸成,家庭環境,ネット環境
  • 5. いじめ集団の构造 (森田?清永(1986)を再構成) 傍観者 観衆 加害者 被害者 いじめられている いじめている 積極的是認 暗黙的支持 5
  • 6. 心理学的アプローチによるいじめ対応 ? 予防のためのプログラム例 – アンガー?マネジメント ? 怒りのメカニズムの理解,怒りを静める技法,適切 な表現方法 ? 本田(2002) 『キレやすい子の理解と対応:学校でのアンガー マネージメント?プログラム』(ほんの森出版) – 共感性トレーニング ? 特に道具的攻撃を行う者に対して ? 自他の感情の認識,他者の視点理解,共感的関わり方 例)セカンド?ステップ(Committee for Children) ? 起こってしまったいじめへの対応例 – 支援グループ?アプローチ(Sue Young) ???ソリューション?フォーカスト?アプローチを応用した手法
  • 7. 支援グループ?アプローチ スー?ヤング(Sue Young) ? 考え方???『解決志向』 – いじめを止めさせるより,望ましい行為を援助 ? 協同作業により友情,共感,チームワークを促進 – 加害者や被害者として扱わない – 原因に言及しない(解決志向) ? 被害者に尋ねること – いまつきあいにくい人は誰ですか – 他に誰が近くにいますか – 学校での友達は誰ですか 7
  • 8. 支援グループ?アプローチの手顺 1. 被害者への面接 2. 支援グループへの集団面接 – 協力を依頼し,支援目標を設定 – ?対象児が困っている。みんななら助けられる? – 具体的援助案と発案者を板書して整理 1週間 の間隔 3. 被害者への面接 – 学校生活がどう良くなったか尋ねる – 状況の好転に自分はどう貢献できるか尋ねる 4. 支援グループへの集団面接 – 支援目標が果たせたかどうかは聞かない – 問題についての報告は求めない (問題解決まで反復:通常3週間程度) 8
  • 9. 怒りのメカニズム なぜ怒りをぶちまけるのか? ? キレやすい人に共通する重要な特徴 – 自動思考 ? ある出来事Aが起こると,次にBが来ると思いこみ ,それに対応した反応を即座に行ってしまう – 感情を思考の対象にできていない ? 自分の感情の理由を説明できない ? 適切なラベルになるような感情の言葉をしらない – 感情の幅や種類が豊かでない ? キレやすい人は「快」「不快」の区別が中心 – 密かに不安なことを抱えている ? 自分の不安を周囲の出来事や人に投影してしまう
  • 10. ワーク「感情のことばをふやそう」(本田,2002) 言葉をふやす ためのワーク
  • 11. 課題カード(本田,2002) 当番の子が押していた給食のワゴンがあなたの足に当 たってしまいました。あなたはどうしますか? A) 「なにすんだよー。痛いじゃないか」とワゴンを蹴る。 B) 「ワゴンがぶつかって足が痛いよ。今度から気をつけて ね」と言う。 C) 何も言わないで保健室へ行く。 1. 子どもに選択肢の中から答えを選ばせる 2. それぞれの回答について話し合う 3. そのシーンを演じて,みんなでその台詞を言う 4. 学んだことを振りかえる 表現方法を知る ためのワーク
  • 12. いじめへの別のアプローチ ? 社会学者による提言 – 学級制度自体をなくすべき(内藤,2009) ? 閉鎖空間では,誰もがおかしくなりうる ? 「いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか」講談社 ? 評価観点の多様性を高める – 学校が特定の絶対的価値観を持たない – 多様な観点で人が評価される学校作り ? いじめに関する心理教育 – 子どもにいじめのメカニズムを教える 12
  • 13. 不登校の現状 <不登校児童生徒数の傾向> ? 基本的に横ばい傾向が強い(ここ2年は微減) <対応の変化> ? 働きかけ、かかわりを控えた待つ対応:文部省「学 校不適応対策調査研究協力者会議」報告(1992) ↓ ? 働きかけ、かかわりを持つ対応:文部科学省「不登 校問題に関する調査研究協力者会議」報告(2003) ? スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカ ーの配置など教育相談の充実
  • 14. 文部科学省「平成21年度児童生徒の问题行动等 生徒指导上の諸問題に関する調査」(確定値) 不登校児童生徒数は、小学校22,327人(前年度より325人減尐)、中学 校100,105人(前年度より4,048人減尐)の合計122,432人 (前年度より4,373人減尐)。 ?小学校 0.32% (前年度0.32%) ?中学校 2.77% (前年度2.89%)
  • 17. 不登校となったきっかけと考えられる状況(確定値) 不登校の理由 小学校 中学校 いじめ 473 2.1% 2694 2.7% いじめを除く友人関係をめぐる問題 2640 11.8% 19084 19.1% 教職員との関係をめぐる問題 706 3.2% 1562 1.6% 学業の不振 1540 6.9% 11041 11.0% クラブ活動,部活動等への不適応 75 0.3% 2516 2.5% 学校のきまり等をめぐる問題 208 0.9% 4796 4.8% 入学,転編入学,進級時の不適応 714 3.2% 3853 3.8% 家庭の生活環境の急激な変化 2366 10.6% 5255 5.2% 親子関係をめぐる問題 4303 19.3% 9613 9.6% 家庭内の不和 1427 6.4% 4508 4.5% 病気による欠席 1975 8.8% 6601 6.6% その他本人に関わる問題 9829 44.0% 43001 43.0% 17
  • 18. 中1ギャップ :2005年7月27日小学生から中学1年生 になったとたん、学習や生活の変化になじめずに不 登校となったり、いじめが急増するという現象。新 潟県教育委員会が名づけた。同委員会では2004年度 までの2年間にわたり、県下の中学5校の1年生約 1800人を対象に実態調査を実施している。05年3月 にまとめられた報告書によると、ギャップの典型例 は、コミュニケーションが苦手な生徒が小学校時の 友人や教師の支えを失う「喪失不安増大型」と、小 学校でリーダーとして活躍していた生徒が中学校で 居場所を失ってしまう「自己発揮機会喪失ストレス 蓄積型」であることがわかったという。 (出典:闯补辫补苍碍苍辞飞濒别诲驳别)
  • 19. 「不登校」概念の変遷 ? 60年代 「学校恐怖症」 ? 70~80年代 「登校拒否」 – 学校を恐れている場合だけでなく,自ら拒否し ているというケースが認識されるようになる ? 90年代以降 「不登校」 – 登校を拒否しているだけでなく,学校に行きた くても行けないというケースが認識されるよう になる。
  • 20. 不登校の定義の変遷 ? 「不登校児童生徒」の定義(H15 文部科学省報告書) – 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因? 背景により、登校しないあるいはしたくともできない状 況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や 経済的な理由による者を除いたもの ? 学校教育法施行規則の一部を改正する省令(H17.7.6) – 第3 留意事項:不登校状態であるか否かは,小学校又 は中学校における不登校児童生徒に関する文部科学省の 調査で示された年間30日以上の欠席という定義が一つの 参考となり得ると考えられるが,その判断は小学校等又 はその管理機関が行うこととし,例えば,断続的な不登 校や不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得る も のであること。
  • 21. 最近の傾向① ? 「非在宅校内型」の不登校が増えた – 登校はしているが,保健室等に別室登校して いるケース – 従来の枠組みでは不登校に入らない ? 登校しているが欠席したい児童生徒が相 当いることが認識されるようになる
  • 22. 最近の傾向② ? 「不登校は誰にでも起こりうる」 – 「何が何でも登校すべき」という認識の低下 →周囲も本人も冷静に対応できつつある →教師が真剣に対応しないという傾向も ? 不登校経験者の7割はその後普通に社会生活を送る ? しかし,残りの3割を見逃すことはできない
  • 23. 不登校への対応 1. 文部科学省の方針 2. 一般的な対応指針 3. スクール?ソーシャルワークの導入 4. 学校へ行かないという選択肢 23
  • 24. 不登校への対応にあたって (5つの視点) (文部科学省,2003)
  • 25. 不登校への一般的な対応指針(鈴木, 2002) ? 早期発見?早期対応を心がける – 兆候がみられたら,個別面接や情報収集 ? 校内での協力体制の確立 – 担任一人で解決しようと思わない ? 先入観を捨て毎回を初めてのケースと認識する ? 学校復帰?再登校を最終目標としない ? 登校刺激は無理強いしないが,徐々に根気強く ? 家庭訪問は午後や休日に短時間で ? 保護者への共感的理解?協力 ? 専門機関との連携 ? 登校を誘ってくれるクラスメイトの負担に気をつけ る,そのことについて本人の意向を聞く 25
  • 26. 滋賀県教育委員会 スクールソーシャルワーク的学校不適応支援事業 1. アセスメントとプランニングを重要視 2. ケース会議の定期的開催 3. B-PDCAサイクルの採用 – “B”:ベーシックアセスメント 4. ベースシートの活用 – 支援の共通認識や情報収集,記録作成,SSW概念の 意識化に役立つ 26
  • 28. 滋贺県の不登校に関する统计 学校不適応支援事業対象の 40小学校における不登校児童の変化 H18 H19 28 対象校の不登校児童数 157名 128名
  • 29. アセスメントのポイント(伊部, 2008 ) ? 家庭環境:家族構成,保護者の性格?教育方針,親 子関係,夫婦関係,経済状況,きょうだい関係,力 のあるところ,援助を必要とするところ ? 学校環境:友人関係,教師との関係,学習状況,学 校生活全般(休み時間,保健室,給食,各授業中, 部活,登下校等) ? 地域環境:家族,本人を支える資源の有無 ? 本人自身:学力?体力?運動能力,性格,好き嫌い ,こだわり,得意?不得意等,発育状況,日常生活 (睡眠時間,起床,就寝時間,食事,入浴等),発 達障害,虐待の有無,自尊感情,人への信頼感 29
  • 30. スクール?ソーシャルワークの導入 スクール?ソーシャルワーカー (SSW)とは – 学校に関する問題を解決す るために,学校,児童生徒 ,家族,地域,行政などの 間を取りもつ役割 – SSW自体は資格制度ではな いが,各自治体によって採 用資格が決まっている – 非常勤として地方自治体な どから雇われることが多い – 指導主事などの教員がその 典拠:日本スクールソーシャルワーク 役割を担うこともある 協会 http://www.sswaj.org/w_ssw.html 30
  • 31. SSWの活動のレベル(鵜飼, 2008) レベル 視点 具体例 ミクロ 個別事例の改善 子ども?保護者?教職員等に対す レベル る相談?支援?情報提供 メゾ 校内システムの構築 学校内におけるチーム体制の構築、 レベル 支援 ケース会議の実施 教職員等への研修 マクロ 学校を含めた教育行政 関係機関とのネットワークの構築、 レベル システムの構築 連携?調整 関係機関連携ケース会議の実施 自治体の相談体制作りへの関与 31
  • 32. 不登校への対応4: 「学校」へ行かないという選択肢 ? ホームスクーリング ? フリースクール – サポート型,適応指導教室,通信制,全寮制等 ? 適応指導教室の活用 – 市町村の教育委員会が設置,教員が実務担当 – 松山市「松山わかあゆ教室」など – 登校日数としてカウントされる – 1992年から小中では校長の判断により出席扱い ? 「保護者と学校の連携が十分に取れていること」や「訪問で対 面指導ができること」など – 2010年から高校でも一部出席扱いに 32
  • 33. 教育基本法 (平成十八年十二月二十二日法律第百二十号) (義務教育) 第五条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めると ころにより、普通教育を受けさせる義務を負う。 2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する 能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い 、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的 な資質を養うことを目的として行われるものとする。 3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、そ の水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の 下、その実施に責任を負う。 4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育 については、授業料を徴収しない。 33
  • 34. 学校教育法 (昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号) 第二章 義務教育 第十七条 保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後 における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の 属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学 校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子が、満 十二歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又 は特別支援学校の小学部の課程を修了しないときは、満 十五歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間 において当該課程を修了したときは、その修了した日の 属する学年の終わり)までとする。 34
  • 35. 今日の課題 ? 教科書 – 復習+発展 118~138を読む – 予習 104~107を読む ? 生徒指导提要 – 第6章 第1節と第6節 35