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GISデータを用いた都市内における日射量分布解析
その5 場所性を考慮した窓の選択手法
Analysis on Solar Radiation Distribution in the city with GIS Data
Part 5 Proposal of Optimization Methods of Window System Installed on Housings
北海道大学大学院工学院 空間性能システム専攻 空間性能講座 建築環境学研究室
大沢 飛智
空気調和?衛生工学会北海道支部 第50回学術講演会
1.はじめに
1. はじめに
気象データの中で日射は必須のデータである
○建築環境シミュレーション
○太陽光発電量?太陽熱集熱量...など
日射は地域ごとの影響だけでなく
敷地周辺の地形?建物(場所性)の影響も受ける
日射に対する場所性の影響を把握
1
1.はじめに
1. はじめに
全国でGISの利用環境が整備
○基盤地図情報の提供
○陸域観測技術衛星「だいち」による標高座標の全世界規模の観測
場所性を高い精度で把握できる
2
1.はじめに
1. はじめに
3
〈手法の応用例〉
日射受熱を利用した暖房エネルギー削減のための手法において
最適な窓の選択手法を提案
○場所性が取得可能な日射量に大きく影響する
○南側天空率を提案
南天空率と暖房負荷に相関性がある
正射影画像の南半分の天空率
場所性の再現をGISデータを用いて気象データに表現する手法の提案
10%
40%
30%
60%
70%
90%
日射透過優先
断熱優先
日射透過優先
断熱優先
モデル名 構成 熱貫流率[W/m??K] 日射取得率[-]
modelA E2-Ar12-FL2 1.44 0.66
modelB E2-Ar12-FL2 1.38 0.42
modelC E3-Ar16-FL3-Ar16-E3 0.73 0.56
modelD E3-Ar16-FL3-Ar16-E3 0.69 0.35
トリプルガラス
ペアガラス
窓の構成、および性能
[mm]10800
20%
50%
80%
7100
南立面図(窓面積率を示す)
60030003000500
2F
1F
床下
断面図
小屋裏
2.解析モデル
2. 解析モデル
[mm]6300
0
10
20
30
40
50
60
<=0.1
0.1<<=0.2
0.2<<=0.3
0.3<<=0.4
0.4<<=0.5
0.5<<=0.6
0.6<<=0.7
0.7<<=0.8
0.8<<=0.9
0.9<
件数[千]
南側天空率の範囲
北海道大学
札幌駅
藻岩山
対象エリア(赤枠)
三
角
山
円
山
公
園
3.気象データの選択
3. 気象データの選択
3.気象データの選択
3. 気象データの選択
北海道大学
札幌駅
藻岩山
対象エリア(赤枠)
三
角
山
円
山
公
園
0
10
20
30
40
50
60
<=0.1
0.1<<=0.2
0.2<<=0.3
0.3<<=0.4
0.4<<=0.5
0.5<<=0.6
0.6<<=0.7
0.7<<=0.8
0.8<<=0.9
0.9<
件数[千]
南側天空率の範囲
南側天空率が0.7以上となる敷地
全件の内95%(0の時、90%)
選別方法
南側天空率の0.0から1.0を0.1ごとに
区分し、各区分よりランダムに50件抽出
解析対象:384件
4.解析結果
両手法で③の最適な窓の選択方法を検討
手法A 手法B
窓面積の決定
窓性能の決定
窓性能の決定
窓面積の決定
敷地の決定①
②
③
4.1 手法Aの検討
年積算暖房負荷[MWh]
年積算暖房負荷[MWh]
modelBmodelA
4.解析結果
ペアガラス
日射透過優先
ペアガラス
断熱優先
modelAの方が大きく影響
○南側天空率の上昇に伴い、取得日射量の増加
○暖房負荷が最小になる窓面積率が上昇
ペアガラス トリプルガラス
生じる暖房負荷
トリプルガラス < ペアガラス
断熱性能
トリプルガラス > ペアガラス
4.解析結果
4.1 手法Aの検討
modelCmodelA
modelDmodelB
4.解析結果
4.1 手法Aの検討
modelA
○札幌市の多くの敷地で開口を設けること
で暖房負荷の抑制効果が期待できる。
○暖房負荷が最小になる窓面積率の前後30%程度であれ
ばデザインや光環境を意識した設計も可能
○札幌市の多くの敷地で開口を設けること
で暖房負荷の抑制効果が期待できる。
4.解析結果
4.1 手法Aの検討
modelA
4.解析結果
4.2 手法叠の検讨
交差値
0.68
4.解析結果
4.2 手法叠の検讨
トリプルガラス
断熱優先
ペアガラス
日射優先
0.68
暖房負荷
modelD > modelA
日射取得量が多い敷地では
熱取得量が熱損失量を大きく上回る
4.解析結果
4.2 手法叠の検讨
0.68 0.840.58
窓面積率が増加することで
生じる暖房負荷の差が大きくなった
4.解析結果
4.2 手法叠の検讨
○札幌市の多くの敷地では日射透過優先の窓の方が
暖房負荷抑制の効果が期待できる。
○50%よりも大きい開口であれば、南側天空率によって、
modelDよりもmodelAの方が高い効果が期待できる。
4.解析結果
4.2 手法叠の検讨
10%
40%
30%
60%
70%
90%
日射透過優先
断熱優先
日射透過優先
断熱優先
モデル名 構成 熱貫流率[W/m??K] 日射取得率[-]
modelA E2-Ar12-FL2 1.44 0.66
modelB E2-Ar12-FL2 1.38 0.42
modelC E3-Ar16-FL3-Ar16-E3 0.73 0.56
modelD E3-Ar16-FL3-Ar16-E3 0.69 0.35
トリプルガラス
ペアガラス
窓の構成、および性能
[mm]10800
20%
50%
80%
7100
南立面図(窓面積率を示す)
60030003000500
[mm]6300
2F
1F
床下
断面図
小屋裏
5.熱容量、庇の検討
5.1 解析のパラメーター
case1-1 0mm
case1-2 10mm(コンクリート)
case1-3 30mm(コンクリート)
case1-1 0mm
case2-1 500mm
5.熱容量、庇の検討
5.2 解析結果(熱容量の検討)
5.熱容量、庇の検討
5.2 解析結果(熱容量の検討)
5.熱容量、庇の検討
5.2 解析結果(熱容量の検討)
5.熱容量、庇の検討
5.2 解析結果(熱容量の検討)
○窓面積率50%以上、case1-3であれば
暖房負荷の抑制が期待できる蓄熱量が
取得可能な日射量より確保できる
5.熱容量、庇の検討
5.2 解析結果(熱容量の検討)
5.熱容量、庇の検討
5.2 解析結果(熱容量の検討)
0.95MWh
0.72MWh
○窓性能は日射透過性を優先した方が良い
5.熱容量、庇の検討
5.3 解析結果(庇の検討)
0.47MWh 0.42MWh 0.36MWh
5.熱容量、庇の検討
5.3 解析結果(庇の検討)
0.38MWh 0.38MWh 0.35MWh
5.熱容量、庇の検討
5.3 解析結果(庇の検討)
0.38MWh 0.38MWh 0.35MWh
庇による暖房負荷の増加を抑制するためには
?窓面積率を高くする
?断熱性優先の窓を利用する
1)本報では既報で提案した手法を用いて、気象データを作成し、日射受熱を利用した暖房エネルギー削減のため
の手法において、最適な窓の選択手法を提案した。
2)今回の解析モデルの設定では手法Aで窓面積を選択する場合、開口を設けることで暖房負荷の抑制が期待でき
る敷地であれば、暖房負荷が最小となる窓面積率の前後30%の範囲でデザインや光環境を考慮した窓面積率の
選択ができることを示した。手法Bで窓性能を選択する場合、日射透過性を優先した窓の方が暖房負荷の抑制効
果が期待でき、南側天空率によってはペアガラスであるmodelAの方がトリプルガラスであるmodelDよりも暖房負
荷の抑制効果が期待できることを示した。
3)熱容量や庇による最適な窓の選択手法への影響を検討した。今回の解析モデルではcase1-3のような熱容量で
ある場合、取得可能な日射量が十分に確保できる敷地で窓面積率は50%よりも高ければ、暖房負荷の抑制効果
が期待できる。また、窓性能は日射透過性を優先した方が良いと示された。今回の解析で設定した庇による暖房
負荷の増加を抑えるのであれば、窓面積率を増加させ、断熱性を優先した窓性能にする方がよい。
4)今後の解析では窓の熱貫流率と日射取得率をより細かく分けたパラメータとして解析することで、より詳細な窓
性能と窓面積率の関係を検討していく。また、取得可能な日射量が多すぎる場合、オーバーヒートしている可能性
があるため、今後はその問題についていも言及していき、最適な窓の選択手法への影響を検討する。
6. 総括と今後の展望
6.総括と今後の展望
ご清聴ありがとうございました

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