米国時間 9月26日から28日にかけて「Mobile World Congress in Las Vegas 2023」が開催されました。
今回のイベントでは、5Gの将来の可能性について非常に多く語られていました。特にT-MobileやAT&Tといった米国通信事業者のトップランナーの取り組みや最新のスタートアップ情報は、日本の多くの企業にとって非常に参考になるかと思います。
現地の模様や発表されたトレンドを、皆さまに共有いたします。
米国時間 9月12日から14日にかけて「AI Hardware and Ege AI Summit 2023」というイベントが、サンタクララにて開催されました。
AIの利活用がさまざまな業種において言及されていますが、パフォーマンスの面でエッジにおけるAIの実装が重要であると言われています。最新の状況では、チップの進化もあいまって加速度的に技術が進化しています。
今回は現地の模様や発表されたトレンドについて、皆様に共有いたします。
10. 11/30/2023 All Copyrights reserved by Nissho Electronics USA Corp 10
2027年までに2500サイトを
Open RAN化へ
? 技術革新への挑戦
複数ベンダーのアンテナ構成やインテルとの専用チップ
共同開発など。モバイル通信の新しい可能性を模索
? ベンダーとの連携強化
Nokia、Dellと共同実験。クラウドの活用など、ベンダーとの
連携を強化。異なる技術の組み合わせから生まれるシナジー
を追求
? 未来志向のアプローチとプラグアンドプレイ
ワンクリックでのモバイル環境構築を目指す。テスト時間の
短縮や工事のスピードアップなど、効率向上を図る
Andrea Dona
Chief Network Officer
写真: Fyuz Youtube
11. 11/30/2023 All Copyrights reserved by Nissho Electronics USA Corp 11
ベンダーの自由な組み合わせの新局面
「OREX」の提供開始
? 画期的な新製品
製品を自由に組み合わせて選択できる独自のアプローチ
これまでは、選択は可能でもベンダーが限られていた
? 異なるベンダーの統合
ソフトウェアのアップデートやトラブルシューティングが
煩雑になる課題を克服
? コストメリットを追求
異なる周波数帯への対応や地域のニーズに合わせた
最適なソリューションとなりうる
Sadayuki Abeta
VP & GM of RAN Development
写真: Fyuz Youtube
12. 11/30/2023 All Copyrights reserved by Nissho Electronics USA Corp 12
プライベート5Gに関する提携の展開
? プライベート5Gサービス提供
2022年8月より、企業に対してハードウェア、ソフトウェア、
およびマネージドサービスを提供している
? テレコム市場での役割
通信事業者の競合ではなく、イネーブラーとしての役割を強調
クラウドの経済性を持ち込む新たなアプローチを模索
? 多国籍企業ネットワークの制御
ドイツテレコムやVMwareとの提携を通じて、複雑に
なりがちな多国籍企業ネットワークの制御と管理を提供
Sameh Naguib
Global Head of Telco Cloud
Business Development
写真: Fyuz Youtube
13. 11/30/2023 All Copyrights reserved by Nissho Electronics USA Corp 13
5Gスライシングサービス開始
注目されるAPIの公開
? 産業分野での活用期待
製造、医療、教育など、さまざまな分野での活用が期待
されている
? スライシングにおけるAPI公開
APIを活用することでスライスの作成?管理、ネットワーク
リソースの割り当て、セキュリティの設定が可能
? Quality On Demand API
アプリケーションがSIMに特定のサービス品質を要求すること
ができる。ネットワークの高負荷状態でも安定したデータ転送
が可能
Changsoon Choi
VP, Head of NW Service Differentiation
and Convergence Tribe.
写真: Fyuz Youtube
14. 11/30/2023 All Copyrights reserved by Nissho Electronics USA Corp 14
中立ホストを活用した
新しいアプローチ
? 大手通信事業者との提携
AT&TやT-Mobileと提携しながら、自社は中立ホストとして
展開を図る新しいコンセプトを提案
? CBRSを活用したLTEベースのネットワーク構築
LTEベースのネットワークを構築することで、ユーザーに
とってより優れた通信体験を提供
? 効率的で迅速な展開
従来のモバイル通信展開方式と比較して、新しいアプローチは
飛躍的にコストを削減し、かつ設置が簡単
1カ所あたりの設置期間も約3カ月で完了する迅速さが特徴
Renuka Bhalerao
Network Infra Ecosystem
Programs
写真: Fyuz Youtube
15. 11/30/2023 All Copyrights reserved by Nissho Electronics USA Corp 15
写真: Fyuz Youtube
RAN Intelligence
高度な分析システムの開発状況
? 開発の目的
電波効率向上やコスト削減、エネルギー節約を目的とした
高度な分析システムに焦点があてられる
? 研究の状況
AT&TとNokiaによるニアリアルタイム分析の共同研究
Microsoftは、困難であったデータ抽出に成功
リアルタイムの実現については、Open RANの進展が不可欠
? 技術進化による将来展望
位置情報の認識やセキュリティへの適用、デジタルツインの
活用などが期待される。スタートアップも活発に動き、
組み込みアプリの黎明期を迎えつつある
#8: Open RANは、広く基地局制御部(CU)と無線機(RU)を分離し、異なるベンダーの製品を組み合わせて使用できるようにする技術開発を推進しています。2018年に創設されたO-RANアライアンスを中心に様々な業界団体が関連する仕様を定めており、メジャーな通信事業者は積極的にこれを取り入れています。この1,2年で大きく動きがあり、主要なベンダーであるエリクソンやノキアなどが積極的に取り組むようになりました。しかし、まだまだ多くの通信事業者やベンダーは動向を見守っているのが現状です。というのも、技術的にはまだまだ未熟な状態だからです。相互接続のためのインターフェイスの標準化が完了していなかったり、ハードウェアとソフトウェアの互換性など基本的な接続性にたくさんの問題が残っています。さらに、RICの開発が初期段階であることから開発者コミュニティの不足しているなどなどまだまだ多くの問題があり、講演では、最終的な目標に到達するには10~15年かかるとも言われていました。
現状について、もう少し補足すると、大手の参入についても懸念の声があります。大手のベンダーがOpen RANの標準化を主導することで、従来の通信ネットワークと同じように、開発者コミュニティに技術が開放されない可能性があります。そうなると、投資のきっかけになりやすいAIの実装が遅れ、結果的に新興企業が挑戦しにくい環境になるリスクがあります。
#9: Open RANの市場は、非常に大きな市場になることが想定されており、2027年には156億ドル(約23兆円)の規模になります。年平均成長率も70%を超えており、比較的高い成長率を示しています。これを促進するのは、ネットワークパフォーマンスが今後より高いものがもとめられることが大きな要因だと思います。
為替150円
機器コストの削減、ネットワークパフォーマンスの向上、市場の競争激化などが市場の成長を推進している。
#20: 続いては、Parallel Wirelessです。2G、3G、4G 、5Gへの進化の中、新しい技術導入には運用上の複雑さが伴い、管理コストも増えます。この会社の製品を利用するとすべてのGにおけるコア機能を仮想化し、ネットワークを簡素化および自動化することができます。さらに、世界初のマルチGに対応したOpen RAN Aggregator ソフトウェアを提供しています。COTSサーバー上で動作できるよう、従来のRANおよびコアネットワーク機能を抽象化することで、プラグアンドプレイに対応をしています。アグリゲーターでは、ネットワークコンポーネント間の標準ベースのオープンインターフェースを使用することでOpenRANアーキテクチャを実現し、その結果、ネットワーク管理と新しいRAN製品のネットワークのコアへの統合を簡素化します。
#21: タイトルにあるUSMとは、ユニバーサル スペクトラム マルチプライヤの略です。通信技術の一部で、電波の混信を防ぎ、通信をスムーズにすることで、通信速度や品質を向上させる技術です。
遅延ドップラーとは、高速で移動する物体に信号を送る場合に通信信号の周波数が変わってしまうことがあります。OTFS(Orthogonal Time Frequency Space)変調はこれを修正する技術でUSMの一つです。Cohereは、OTFS変調領域における先駆的な研究を行ってきました。この研究をもとに正確なチャネル予測(信号がどのように飛ぶのかを予測)することができ、従来よりも最大2倍の容量のデータを同じ信号で飛ばすことができます。実装は、ネットワーク機器ベンダーによってRANに統合することも、Telco CloudのxAppとして統合することもでき、既存環境に簡単に組み込むこともできます。4Gにも5Gにも適用することができ、キャパシティを増やしつつ、効果的に周波数帯を共有できることからスムーズな4Gから5Gへの移行を実現することができます。
#22: Weaver Labsが提供するCell-Stackは、まだ開発中の技術です。あらゆる種類の通信関連資産を 1 つのソフトウェアで管理します。統合化により、通信事業者は、ネットワークのパフォーマンスを監視し、障害を迅速に検出および修復することができます。また、Network as a Service (NaaS)の技術を使用して、通信事業者を超えたネットワークを構築することができ、相互接続の際もゼロトラストを使用した安全なネットワークが提供されます。通信事業者は、Cell-Stackを使用して、ネットワークのパフォーマンスを向上させ、コストを削減し、新しいサービスを簡単に提供することができます。企業は迅速なネットワーク構築および管理の簡素化を実現することができます。政府にとっても災害時などの緊急時に通信インフラを迅速に復旧することができます。Adenoというサービスを提供予定であり、暗号資産を用いたタイムリーな資産利用料の支払いをサポートします。