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インクルーシブ教育システム构筑の基础的环境整备としてのデジタル教科书
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インクルーシブ教育システム构筑の基础的环境整备としてのデジタル教科书
1.
インクルーシブ教育システム構築の 基礎的環境整備としてのデジタル教科書 A digital textbook
as basic environment of the inclusive education system. 井上 芳郎 Yoshiro INOUE 埼玉県立ふじみ野高等学校 Fujimino High School, Saitama Pref. Japan 【要旨】2014 年 1 月に批准された障害者権利条約を受け、2016 年 4 月には障害者差別解消法が施行 となりインクルーシブ教育が展開される。この教育システム構築の必須条件となる「合理的配慮」確 保のための「基礎的環境整備」として、アクセシブルなデジタル教科書の在り方について検討した。 【キーワード】合理的配慮 基礎的環境整備 インクルーシブ教育 EPUB DAISY 1. はじめに 2014 年 1 月に批准された障害者権利条 約では、障害の有無にかかわらずすべての 子どもが可能な限り共に教育を受ける、イ ンクルーシブ教育の理念が示されている。 国内法の整備として障害者基本法が 2010 年 7 月に改正され、インクルーシブ教育シ ステム構築のための「適切な教材の提供」、 「学校施設の整備」などが、国や地方公共 団体の責務として示された。これにもとづ き、2016 年 4 月の障害者差別解消法施行 後は、各学校などでは「合理的配慮」の提 供が義務づけられることとなる。 2. 合理的配慮と基礎的環境整備 「合理的配慮」とは「障害者がすべての 人権、基本的自由を享受し行使するための、 必要かつ適当な変更や調整」であり、「均衡 を失した過度の負担を課さないもの」とさ れる。この「合理的配慮」の提供を義務づ けることでインクルーシブ教育を確保し、 差別解消のための必須条件の一つに位置づ けた。そしてその裏付けとしての「基礎的 環境整備」は、国や地方公共団体それぞれ の財政措置で確保されるべきものとした。 各学校などでは、これらをベースとして「合 理的配慮」の提供がされることとなる。 3. 基礎的環境整備としてのアクセシブ ルなデジタル教科書 文科省検定教科書は「主たる教材」とし て使用が義務づけられており、「適切な教材 の提供」というまさに「基礎的環境整備」 の観点から、必要としているすべての子ど もがアクセスできる形式で用意すべきであ る。義務教育では「紙の教科書」と同様に 無償給与とし、高等学校でも「紙の教科書」 と同価格で提供すべきである。 2008 年 9 月施行の教科用特定図書等普 及促進法(教科書バリアフリー法)を根拠 として、教科用拡大図書(拡大教科書)な どについては、教科書出版社に対し発行の 努力義務が課され、2012 年度より全点が発 行され無償給与されている。しかし視覚障 害、弱視、肢体不自由、発達障害などの理 由により、拡大教科書を含む「紙の教科書」 へのアクセスが困難な子どものための、マ ルチメディア版 DAISY 教科書の製作につ
2.
いては、いまだにボランティア団体に頼っ ているのが現状で、必要としているすべて の子どもの手元にまで届いていない。教科 書バリアフリー法を根拠に、教科書出版社 からボランティア団体への教科書デジタル データ提供が義務化され、一定の負担軽減 がされたとはいえ、本来国の責務としてな すべき事をボランティア団体が肩代わりし ているという実態に変わりはない。 2013 年 6
月公表の「世界最先端 IT 国家 創造宣言?工程表」では、2014 年度末まで に「デジタル教科書?教材の位置づけ?制 度に関する課題整理」をし、2016 年度末ま でに「導入に向けた検討」をして、ようや く 2018 年度末までに「導入?普及促進に 向けた環境整備」を完了するとしている。 また 2013 年 8 月公表の「障害のある児 童生徒の教材の充実について」では、「音声 教材として複製された教科用特定図書等に ついては、…(略)…国としてボランティ ア団体等による製作を支援していく必要が ある」とし、製作を国の「責務」としては 位置づけず「支援」の段階に留めるもので あり、理解に苦しむところである。 障害者差別解消法施行が 2016 年 4 月と 間近に迫るなか、「基礎的環境整備」として のアクセシブルなデジタル教科書が、それ までに確実に用意できるのか疑問がある。 もし不充分な「基礎的環境整備」のままイ ンクルーシブ教育を進めるなら、いずれ学 校現場での「合理的配慮」の円滑な提供が 困難になるだろう。「合理的配慮」提供の申 し出がなされても、場合によっては「均衡 を失した過度の負担」とされ、却下される ケースが出てくるだろう。主たる教材とし て使用が義務づけられている検定教科書を めぐって、このような問題が起こることは 避けなければならない。 最近アクセシビリティへの配慮がされた、 EPUB ベースの学習者用デジタル教科書の 試作が進められている。EPUB は電子書籍 の国際標準規格であり、デジタル教科書フ ァイル形式の候補として現在もっとも有力 視されている。EPUB のアクセシビリティ 仕様は、同じく国際標準規格である DAISY に拠っており、このことも有力候補として の根拠とされる。デジタル教科書に求めら れる機能をさらに充実させ、EPUB を拡張 して教育目的に特化させた EDUPUB を策 定する動きもある。ただし正式なデジタル 教科書ファイル形式として確立するには、 あと数年を要するとされる。 4. まとめに代えた提案 アクセシブルなデジタル教科書は、イン クルーシブ教育システム構築の「基礎的環 境整備」として必須のものである。前述の ようにアクセシビリティへの配慮がされた、 EPUB ベースの学習者用デジタル教科書の 試作が進められ、その一部は 2015 年度当 初には市販されるという。このようなデジ タル教科書がデバイスも含め、必要とする すべての子どもに無償で給与(または貸与) されるよう、国の財政措置が必要である。 その際には、市販のアクセシブルなデジタ ル教科書か、またはそれに代わるマルチメ ディア版 DAISY 教科書などが選択できる ようすべきである。また製作に当たるボラ ンティア団体への公的な支援体制について も、早急に確立していく必要がある。 今後国として取るべき施策として、例え ば 2013 年 6 月のデジタル教科書教材協議 会(DiTT)の提言による、学校教育法、教 科書発行法、著作権法の改正を含む「デジ タル教科書法」策定に着手し、デジタル教 科書全般はもちろんのこと、アクセシブル なデジタル教科書についての法的な位置づ けを明確化させ、必要としているすべての 子どもの手元に、迅速かつ確実に届けるた めの制度設計をしていく必要がある。
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