狠狠撸

Yuki Suzuki
Senior Solution Architect,
Qlik
Qlik Tips
データモデルベストプラクティス
2022年8月16日

2
2
2
2
2
2
今回の範囲
アプリが消費するメモリのサイズの削減や、レスポンスの改善のためのデータモデルの適正化
について取り上げます。
データロード時間の短縮については当セッションには含めません。

3
3
3
3
3
3
スノーフレークスキーマ
スタースキーマ
分析に適したデータモデル
ディメンショナルデータモデル
業務システムに用いられる正規化（データの重複を極力排除）されたデータモデルと異なり、分析システムでは一般的
にディメンショナルデータモデルが使用されます。ディメンショナルデータモデルには、スタースキーマとスノーフレークスキーマが
あります。Qlikのデータモデルもシンプルなスタースキーマが推奨されます。
ファクト
ディメンション
ファクト
ファクト：分析対象の数値（売上金額や受注件数など）
ディメンション：分析の視点や切り口（商品、取引先など）
シンプルで集計効率がよい

4
4
4
4
4
4
Qlikの連想データモデル
Qlikのアプリにデータをロードすると、内部では、
同じ項目の同じ値は一度しか持たない形に格納
されます。
この過程でデータは超圧縮されるとともに、すべて
の項目がポインタで関連付けられます。
そのためすべてのチャートが連動し、
Power of grayによる除外値の表示
などの柔軟な分析が可能となります。
クエリーベースの他ツールでは、Selectにより
ファクトテーブルを主とした１テーブルが作成されま
す。ファクトに含まれないディメンション値は失われ、
限定的な分析となります。

5
5
5
5
5
5
データモデルのベストプラクティス
1. 分析に不要なデータを削除する
不要な項目を削除する???分析に無関係な項目、システム管理上の項目などを削除
データの粒度を適切にする???本当に明細が必要かを検討
2. 合成キーや循環参照を削除する
不要な項目を削る
項目名を変更する
複合キーを作成する
テーブルを結合する
3. スノーフレークスキーマからスタースキーマへ変換する
4. 値の数を減らす
タイムスタンプの分割
連結キーの分割
Autonumberの使用
5. アプリの分割

6
6
合成キーとは何か
データモデルビューアーで確認
各テーブルに共通の項目が2つ以上ある場合、Qlikは自動的に合成キーを作成します。
間違いではありませんが、メモリを余分に消費したり、レスポンスに悪影響を与える場合があります。
?
?
データ
ロード
?
?
製品マスタ
製品コード
製品種別
製品名
単価
売上伝票
伝票番号
伝票日付
顧客コード
製品コード
製品名
販売数量
販売価格
合成キーテーブル

7
7
循環参照とは何か
テーブル間の関連付けがループしてしまう場合、Qlikは疎結合を起こします。データモデルは正しく処理されません。
?
?
?
?
顧客マスタ
顧客コード
市区郡コード
営業員コード
顧客名
地域マスタ
都道府県コード
市区郡コード
都道府県
市区郡町村
?
?
データモデルビューアーで確認
データ
売上伝票
伝票番号
伝票日付
顧客コード
都道府県コード
製品コード
製品名
販売数量
販売価格
ロード

8
8
8
8
8
8
売上伝票の
製品名を削除
合成キーや循環参照の解消
複数のテーブルに同じ項目が含まれている場合はひとつを残して他を削除します。
下記の例では、、「製品名」が「製品マスタ」と「売上伝票」両方に含まれていますが、常に製品マスタから製品名が取得
されるのであれば売上伝票の製品名は不要なので削除します。

9
9
9
9
9
9
製品マスタの
単価を変更
[単価] AS [仕入単価]
複数のテーブルに同じ項目が含まれているが、意味が異なる場合は名前を変更します。
下記の例では、、「単価」が「製品マスタ」と「売上伝票」両方に含まれていますが、製品マスタでは「仕入単価」、売上
伝票では「売上単価」をそれぞれ指しているので、製品マスタの単価を「仕入単価」に変更します。

10
10
10
10
10
10
複合キーを
作成
AutoNumber([国コード] & ’-‘ & [顧客コード]) AS [顧客キー]
＊AutoNumberは後述
複数の項目でテーブルが関連付けられる場合、項目を結合して複合キーを作成します。
下記の例では、「売上伝票」と「顧客マスタ」が「国コード」と「顧客コード」で紐付いています。「国コード」と「顧客コード」
のどちらか一方では正しく紐づきません。このような場合は項目を結合して複合キーを作成します。
売上伝票からは国
コードも顧客コードも
削除する

11
11
11
11
11
11
テーブルの結合
テーブルの結合パターン
パターン例対応方法
ディメンションテーブルから1項目のみ参照しているコードから名前を取得している ApplyMap
ディメンションテーブルから複数項目を参照している
複数項目をキーとして連結する
コードから名前や属性情報を取得している
コードと日付がキーとなる
Join
ファクトテーブルが複数ある、多対多の関係にある受注ヘッダと受注明細
売上と計画、受注と出荷
Concatenate
リンクテーブル
テーブルの結合は、合成キーや循環参照の削除、スノーフレークスキーマからスタースキーマへの変更に有効です。

12
12
12
12
12
12
ApplyMap
例：製品マスタから製品名のみ使用したい
製品名を
ApplyMap
[製品Map]:
Mapping Load
[製品コード],
[製品名]
FROM 製品マスタ;
[売上伝票]:
LOAD [伝票番号],
[伝票日付],
[顧客コード],
[製品コード],
ApplyMap(‘製品Map’,製品コード,‘不明’)
AS 製品名,
[販売数量],
[販売価格]
FROM 売上伝票;
製品マスタ
製品コード
製品種別
製品名
単価
売上伝票
伝票番号
伝票日付
顧客コード
製品コード
販売数量
販売価格
Mapping Loadしたテーブルはデータロード終了時に自動で削除されます。
同様の関数にLookUpもあります。ApplyMapの方がパフォーマンスに優れています。
キーと参照項目の2
項目のみのテーブル
を作成
テーブル名のシング
ルクォーテーション忘
れがち
1つのキーで１つの項目を取得

13
13
13
13
13
13
Join
例：製品マスタを受注伝票に結合
製品マスタに
受注伝票を
Join
[受注伝票]:
LOAD
受注日付,
受注コード,
製品分類,
製品コード,
取引先コード,
受注数量,
受注金額
FROM 受注伝票;
Join(受注伝票) LOAD
製品分類,
製品コード,
製品名,
仕様
FROM 製品マスタ;
製品マスタ
製品分類
製品コード
製品名
仕様
受注伝票
受注日付
受注コード
製品分類
製品コード
取引先コード
受注数量
受注金額
1つ以上のキーで１つ以上の項目を取得
双方のテーブルの同名の項目が結合のキーとみなされます。

14
14
14
14
14
14
Joinの種類
伝票番号伝票日付製品コード
1 2017/05/01 A01
2 2017/05/05 A02
3 2017/05/13 A03
製品コード製品種別製品名
A01 X 製品01
A02 Y 製品02
A04 Z 製品04
伝票番号伝票日付製品コード製品種別製品名
1 2017/05/01 A01 X 製品01
2 2017/05/05 A02 Y 製品02
3 2017/05/13 A03 - -
- - A04 Z 製品04
1 2017/05/01 A01 X 製品01
2 2017/05/05 A02 Y 製品02
1 2017/05/01 A01 X 製品01
2 2017/05/05 A02 Y 製品02
3 2017/05/13 A03 - -
1 2017/05/01 A01 X 製品01
2 2017/05/05 A02 Y 製品02
- - A04 Z 製品04
Join
Join
または
Outer Join
Inner Join
Left Join
Right Join
製品コードがキー

15
15
15
15
15
15
Joinあるあるエラー
伝票番号金額製品分類製品コード
1 1000 X A01
2 2000 X A02
3 3000 Y A01
製品コード製品種別製品名
A01 X 製品01
A02 X 製品02
A01 Y 製品03
Join
Join
または
Outer Join
二つのテーブルで正しくキーが一致していないと、データが余分に作成されてしまうことがあります。
下の例では、製品分類と製品種別で項目名が異なるため、結合キーは製品コードのみとみなされています。
製品コードが一致するすべての
製品名のデータが作られ、受注
金額が膨らむ
データが異常に膨らんだ場合は、Joinのキーを確認すると、原因に該当する場合があります。

16
16
16
16
16
16
受注データと出荷データを結合
Concatenate
受注_出荷:
Load * FROM 受注データ;
Concatenate (受注_出荷)
Load * FROM 出荷データ;
項目が同じ複数のテーブルは自動的に連結して1テーブルとなります。
強制連結の場合は、項目、行数は双方のテーブルの項目を合わせたものとなります。
受注コード明細コード製品コード取引先コード受注数量受注金額
1 1 S1 T1 10 1000
1 2 S2 T1 20 2000
1 3 S3 T1 30 3000
2 1 S4 T2 40 4000
2 2 S5 T2 50 5000
出荷番号受注コード製品コード出荷先コード出荷数量
11 1 S1 SS1 8
12 1 S1 SS2 2
13 1 S3 SS1 10
14 2 S4 SS3 20
二つのテーブルが多対多の関係の場合は、Joinで結合することができません。このような場合Concatenateを使って項
目の異なるテーブルを強制連結することができます。
受注コード明細コード製品コード
取引先
コード受注数量受注金額出荷番号
出荷先
コード出荷数量
1 1 S1 T1 10 1000 - - -
1 - S1 - - - 11 SS1 8
1 - S1 - - - 12 SS2 2
1 2 S2 T1 20 2000 - - -
1 3 S3 T1 30 3000 - - -
1 - S3 - - - 13 SS1 10
2 1 S4 T2 40 4000 - - -
2 - S4 - - - 14 SS3 20
2 2 S5 T2 50 5000 - - -
受注コード別に、受注数量も出
荷数量も集計可能
Concatenateあるある
できるはずのテーブルができてい
なかったら、自動連結されてい
ないか確認

17
17
17
17
17
17
リンクテーブル
リンクテーブルも多対多のテーブルの結合に対応できます。一般的にはConcatenateのほうがシンプルですが、より多く
のファクトやディメンションテーブルを扱う場合や、意味合いの異なる種類のファクトテーブルを別々に管理したい場合にな
どに使用します。ただし大量データに使用するとメモリを圧迫したり、レスポンスが悪化することがあるので注意が必要です。
関連付けのための
キーと共通項目のみ
持つテーブル
商品や部門マスタ
が予算と実績の双
方に関連している
予算と受注が多対
多なのでJoinでき
ない

18
18
値の数を減らす
? タイムスタンプの分割
タイムスタンプは個別の値が非常に多い
分析に必要ない範囲は削除する、または、日付と時刻に分割する
例：タイムスタンプから日付のみ取り出す
Date(Floor(タイムスタンプ項目))
例：タイムスタンプを時間までとし、分、秒を削除する
Timestamp(Floor(タイムスタンプ項目,1/24))
? 連結している軸の分割
複数の項目が連結されている項目を分割する
例：製品を製品コードと色に分ける
製品製品コード色
1110-RED → 1110 RED
1110-BLUE → 1110 BLUE
1120-RED → 1120 RED
? Autonumberの使用
連結キーをシンボルに変換する
例：製品 & ‘-’ & ‘色’ as キー → Autonumber(製品 & ‘-’ & ‘色’ ) as キー

19
19
19
19
19
19
データモデルのベストプラクティスまとめ（再掲）
1. 分析に不要なデータを削除する
不要な項目を削除する???分析に無関係な項目、システム管理上の項目などを削除
データの粒度を適切にする???本当に明細が必要かを検討
2. 合成キーや循環参照を削除する
3. スノーフレークスキーマからスタースキーマへ変換する
4. 値の数を減らす
タイムスタンプの分割
連結キーの分割
Autonumberの使用
5. アプリの分割

狠狠撸

Qlik Tips 20220816 データモデルベストプラクティス

Recommended

More Related Content

What's hot (20)

Similar to Qlik Tips 20220816 データモデルベストプラクティス (20)

More from QlikPresalesJapan (20)

Qlik Tips 20220816 データモデルベストプラクティス

Editor's Notes