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2012年度   卒業論文


土パネルと土建築の有用性
 -人?環境に優しい土-
研究の背景

昨年3月11日の大震災を受け、耐震性、耐火、建築材料に注目
          &
都心に現存する木造住宅は密集していて一般的に火災に弱い

          地元川越の蔵造りに注目

  耐火としての土、調湿性のある土、蓄熱性の高い土


?土は地球上のほぼすべてで無尽蔵に手に入る

?海外では土建築の歴史は古く、世界の人口の1/3は土の住居に
 住んでいる

?技術や資金、資源不足等を補う唯一の方法が土の建築である
But
日本には土壁があるが問題点が多々ある
            ll
    ?施工性の悪さ
    ?職人の減少
    ?壁倍率の基準
    ?素材、製作方法の地域性

そこで施工性のよい新しい土パネルを提案
本研究の目的
新しい土パネルを提案することで、

?無限大の資源である土の重要性、可能性を再確認
?断熱性だけでなく蓄熱性、調湿性について論じることでそれらを
 含めた人間の快適性の基準とは何かを考えるきっかけになること
?地震の多い日本での土を用いた建築の広がり
                  を目的とする。
この実験を通し将来、未来へ向けての準備実験、足がかりになることを望んでいる。

 パネルの目標
 ①人の寄りかかりや、自重による構造の最低限の安全性の確保
 ②リサイクル可能か
 ③施工性の向上とともになるべく価格を抑える
 ④職人をなるべく必要としない
 ⑤調湿性能を失わないようにする
土パネルの性能
断熱性
                                                                熱伝導率
①漆喰5mm+土パネル45mm+空気層10mm+グラスウール30mm+焼                  主な建築材料
                                                               (W/m?K)
杉板15mm                                                土             0.75
   R=1.29<2.2(次世代省エネ基準) K=0.773
                                                      グラスウール       0.036
②石膏ボード12.5mm+空気層40mm+グラスウール40mm+焼杉板
                                                      石膏ボード         0.22
15mm
あ




     R=1.562   K=0.64
                                                                容積比熱
                                                      主な建築材料
①で充填30mm+外張り30mmの場合               ②に充填60mmの場合                  (KJ/??k)
                                                      土             1582
R=2.126 K=0.470                     R=2.117 K=0.472
                                                      グラスウール        26.9

                                                      石膏ボード          854
    ?蓄熱性
                                                      コンクリート        1909
    パネル3枚で壁 一面分 910×2200=2㎡ 厚さ0.045m
    熱容量
    外張り土パネル                         ?調湿性
    ①=182.93KJ/K →653.34 KJ/??K       土の調湿性能は高く、コンクリートの約4倍

    一般壁
                                    ?リサイクル性
    ②=48.17 KJ/K →172.04 KJ/??K
                                       地産地消可能。土や布、木枠も自然材料。
    つまり断熱は同じでも、熱容量は約4倍もある。
土パネルの提案
?形状
      木枠+土+布                            布:木枠と一体化させ、パネルの
                                          引張りを担当。
杉の木枠が805mm×750mm、厚さは45mm
                                 木枠:プレカットで施工性の向上。
パネル一つの土の重量は約42キロある。
                                   また、一般的な軸組部材と
                                   接合可能。設置が楽。


                                            木枠 四隅のとりあい


                                                         ビス打ち
                                                         長さ4mm
                                                         60度




                                 2280
 パネルの概形


                                               ビス打ち 
                                               長さ40mm
                           805
パネル詳細図
 ハンマータッカー+エポキシ接着
                                 布 ?問題点

                                   布が邪魔で土のヒビの
                     土
                                   補修が出来ない。

         45mm角                     一方、土壁の場合は竹
                                   小舞があるため、土だ
  15mm角の木材を
  上下に打ち付ける                         け落として再度土を塗
                     パネル上部         ると8割程度強度は戻
                                   る。

                         ステープル     また、間柱が太く、多
                                   くなる。

                         布


パネル同士
                 土
の接合
壁への取り付け方
試験体製作
約幅400mm×長さ250mm


①木枠製作
1.指定長さに切る
2.ほぞをつくる




         材料
②布の切り出し後、布と木枠との接着




?湿式と乾式
土建築には水分を多く含んだ              なお今回の実験で使用する「舗装名人」
流動性のある湿式(日干しレンガ式)と水分が少なく   は、人?自然にやさしい弱アルカリ性の
突き固める乾式(版築式)の二種類がある。       海水マグネシア系土壌硬化剤で、透水
今回は3つずつ製作。                 性が高く、土に戻すことも可能である。
土壁と同じ素材で可能か調べる
 ①中塗り土+砂+スサ+水=27:50:0.7:15




酸化マグネシウムの有無の違い
②中塗り土+砂+スサ+酸化マグネシウム+水=27:50:0.7:20:16
中塗り土と田土の違い
③荒木田土+砂+スサ+水=27:50:0.7:13




  砂利の有無の違い
  ④荒木田土+砂+砂利+スサ+水=0.33:1:0.33:0.0037:0.2
スサの有無の違い
 ⑤中塗り土+砂+酸化マグネシウム+水=0.5:1:0.4:0.315




                               土を突き固める様子↑
砂利と酸化マグネシウムの有無(アースブリックスと同じ材料)
 ⑥中塗り土+砂+砂利+酸化マグネシウム+水=0.5:1:0.5:0.5:0.18
试験体の完成时
実験方法
?曲げ試験
今回のせん断試験は見送った。また、実験器具が無いため圧縮試験も見送った。

試験方法は以下の図の通りである。ただし、4点曲げ試験とする。
実験器具が無いので比較的原始的なやり方で求めた。


                 误差を少なくする為、手前と奥の二か所を测った。
8

         実験結果                                                         7


                                                                      6

                   湿式代表                                               5




                                                             変位(mm)
                                                                      4
                   試験体
                   ①中塗り土+砂+スサ+水                                       3

                   支点間距離315mm(右図)
                                                                      2
                   (土壁と同様の素材)                                                                                                               変位A(mm)

                                                                      1                                                                     変位B(mm)
                                                                                                                                            平均変位(mm)
                                                                      0
                                                                          0       5000   10000   15000   20000   25000   30000   35000   40000   45000
         4.5
                                                                                                           荷重(g)
          4

         3.5

          3
                                                                                   乾式代表
変位(mm)




         2.5

          2
                                                                                   ⑥中塗り土+砂+砂利+酸化マグネシウム
         1.5                                                変位A(mm)                +水(左図)
          1                                                 変位B(mm)

                                                            平均変位(mm)
         0.5

          0
               0   20000   40000   60000   80000   100000   120000            140000
                                     荷重(g)
実験風景

左①土
下⑥MgO
最大曲げ応力σ(N/m?2 )
曲げ応力とパネルの強度                               ①土             0.322875
                                          ②MgO           0.551537
                                          ③土             0.311063
?無筋コンクリートの許容応力度(N/mm2)                    ④土             0.255668
  基準強度ck18N/mm2                           ⑤MgO           0.466249
                                          ⑥MgO           0.839506
 圧縮応力度             Σck/4≦ 5.5
 曲げ引張応力度           Σck/80≦ 0.3




土だけの場合の最大曲げ応力(最大の①を用いる)を0.322N/m?2
酸化マグネシウムありを0.839N/m?2 とすると

         FL            ???2       土だけ        F=536.2N
    σ=       より   F=
         ??2             ?        MgOあり       F=1397.1N

人が一人、壁に寄りかかったときの荷重は、日本建築学会が
壁長さ1m当りの実際の荷重として250N
さまざまなケースを想定した設計荷重として最大500Nを想定している。
         ↓
            OK!!              *ちなみに石膏ボードの破壊荷重360~650N
実験から…

?二段階(土→布)の破壊の可能性がある

?酸化マグネシウムを加えた試験体は変位が小さく、脆性破壊
土だけは比較的靱性破壊

?酸化マグネシウムを加えたものは約2倍から3倍の強度をもち、無筋コンク
リートとほぼ同等の強度

?地産地消が可能

?砂利を混入すると曲げ強度は大きく低下

?適度なすさは曲げ強度を若干改善
結論

?酸化マグネシウム+適度なすさがこのパネルに適す。

?粒度が大きい砂利は適さず、粘土は地産地消が可能である。

?また、強度を大きく左右する工程として、布を強く張ることが大切ではないか
 と推測される。

?また、石膏ボードに近い強度をもつので、このパネルは石膏ボードの代わりに
 使用することが可能である。

      よって改善を加えていけば実用も十分可能である


今後の課題

?布が土パネルに及ぼす効果を精査する。

?他の硬化剤、土の種類を検討する。

?今回は実験機械が無かったので、より厳密な実験で圧縮応力や、せん断応力
 等他の要素も求める。

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