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当院のめまい外来における SISI 検査
及び DPOAE 検査の
検討
鴨頭 輝 1,2)
、 朝倉 信之介 3)
、石本 晋一 1)
1) JR 東京総合病院 耳鼻咽喉科
2) 東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科
3) JR 東京総合病院 臨床検査科
演題発表に関連し、開示すべき利益相反( COI )関係にある企業?団体
等はありません。
第 68 回日本聴覚医学会総会?学術講演会
利益相反( COI )開示
発表者名: 鴨頭輝
第 68 回日本聴覚医学会総会?学術講演
会
はじめに
SISI (Short Increment Sensitivity Index) 検査
? ある一定のわずかな音の強さの変化を感知することができるか否かの検査法。
? メニエール病等の内耳性の感音難聴における聴覚補充現象を確認する。
? 近年は VEMP (Vestibular Evoked Myogenic Potential) や内耳造影 MRI 等の
新たな検査方法の出現により、特にめまい?平衡医学の分野での報告は少ない。
当院のめまい外来では、一連の内耳機能検査の一つとして SISI 検査を施行
している。
めまい外来受診症例における SISI 検査及び DPOAE 検査を検討したので報
告する。
2019 年 5 月から 2023 年 5 月
JR 東京総合病院耳鼻咽喉科のめまい外来
SISI 検査を施行した 274 名 ( 男性 122 名?女性 152 名;平均 55±18 歳 )
DPOAE 検査を同時に施行した 104 名 ( 男性 46 名?女性 58 名;平均 55±17 歳 )
SISI 検査
? RION 株式会社製 AA-H1 を用いて 1kHz の閾値上 20 dB にて施行
? SISI 値 60% 以上を聴覚補充現象陽性
DPOAE 検査
? Otodynamics 社製 ILO V6
? DPOAE レベル (2f1-f2 、 f2/f1 比 =1.22 、 L1/L2=65/55 dB SPL)
統計解析
? JMP 9 (SAS Institute Inc. 、 Cary 、 NC 、 USA)
? t 検定、ロジスティック回帰分析、ピアソンの積率相関係数の有意性検定を適用した。
? 統計学的有意水準は p < 0.05 とした。
対象と方法
聴覚補充現象陽性
? 両側陽性 10 例
? 片側陽性 19 例
? 陰性 245 例
全症例数 片耳陽性 両耳陽性
メニエール病 25 5 2
内耳性めまい(メニエール病非定型例 ( 前
庭型 ))
23 0 1
低音障害型感音難聴 1 0 0
遅発性内リンパ水腫 2 1 0
前庭神経炎 15 2 0
良性発作性頭位めまい症 28 1 0
結果 S I S I 検査
全 274 例
SISI 値と各周波数における DPOAE レベルの分布
R? = 0.0509
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
0 20 40 60 80 100
1.0kHz
R? = 0.0918
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
0 20 40 60 80 100
1.4kHz
R? = 0.1283
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
0 20 40 60 80 100
2.0kHz
R? = 0.063
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
0 20 40 60 80 100
2.8kHz
R? = 0.03
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
0 20 40 60 80 100
4.0kHz
R? = 0.0294
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
0 20 40 60 80 100
6.0kHz
1 . 0 k H z 1 . 4 k H z 2 . 0 k H z
2 . 8 k H z 4 . 0 k H z 6 . 0 k H z
SISI 値と各周波
数における
DPOAE レベルと
の間に有意な相関
はなし
全 104 例 208 耳
聴覚補充現象と各周波数における DPOAE レベル
聴覚 補 充 現象 陽 性 耳の D POA E レベ ル は 、陰 性 耳 に比 べ てい ず れ の周 波 数 にお い て も有 意 に
低か っ た 。
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
1.0k 1.4k 2.0k 2.8k 4.0kHz 6.0kHz Sum all 1/2
octave
Ave DP
1/2oct(1-6)
DPOAE
level
[dB
SPL]
聴覚補充現象陰性
聴覚補充現象陽性
* * * * * * * *
全 104
例
208 耳
?DPOAE 検査における正常 / 異常の判定閾値はノイズレベル上 3 ~ 5 dB とされてい
る
?DPOAE レベルの絶対値に基づいた聴覚補充現象の判定を推定
1k 1.4k 2k 2.8k 4k 6k
all
1/2
octave
averag
e
1/2
octave
DPOAE ????
?????値
[dB SPL]
4.3 0.2 -1.1 -8.7 -7.8 -13.7 7.6 -1.4
感度 1 0.83 0.89 0.83 0.89 0.78 0.82 0.73
1- 特異度 0.61 0.35 0.38 0.35 0.44 0.41 0.31 0.30
ROC 0.70 0.75 0.80 0.74 0.70 0.69 0.78 0.74
聴覚補充現象と各周波数における DPOAE レベル
全 104 例 208
内耳性めまいではメニエール病に比べて聴覚補充現象陽性の割合が少な
く、
内耳性の感音難聴の合併が少ないことが予想された。
聴覚補充現象陽性例では陰性例に比べて DPOAE レベルが有意に低かっ
た。
DPOAE においてノイズレベルに対する相対値以外に、
絶対値でも判定できる可能性が示唆された。
まとめ

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当院のめまい外来におけるSISI検査及びDPOAE検査の検討 2023年 第68回 日本聴覚医学会

  • 1. 当院のめまい外来における SISI 検査 及び DPOAE 検査の 検討 鴨頭 輝 1,2) 、 朝倉 信之介 3) 、石本 晋一 1) 1) JR 東京総合病院 耳鼻咽喉科 2) 東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科 3) JR 東京総合病院 臨床検査科
  • 2. 演題発表に関連し、開示すべき利益相反( COI )関係にある企業?団体 等はありません。 第 68 回日本聴覚医学会総会?学術講演会 利益相反( COI )開示 発表者名: 鴨頭輝 第 68 回日本聴覚医学会総会?学術講演 会
  • 3. はじめに SISI (Short Increment Sensitivity Index) 検査 ? ある一定のわずかな音の強さの変化を感知することができるか否かの検査法。 ? メニエール病等の内耳性の感音難聴における聴覚補充現象を確認する。 ? 近年は VEMP (Vestibular Evoked Myogenic Potential) や内耳造影 MRI 等の 新たな検査方法の出現により、特にめまい?平衡医学の分野での報告は少ない。 当院のめまい外来では、一連の内耳機能検査の一つとして SISI 検査を施行 している。 めまい外来受診症例における SISI 検査及び DPOAE 検査を検討したので報 告する。
  • 4. 2019 年 5 月から 2023 年 5 月 JR 東京総合病院耳鼻咽喉科のめまい外来 SISI 検査を施行した 274 名 ( 男性 122 名?女性 152 名;平均 55±18 歳 ) DPOAE 検査を同時に施行した 104 名 ( 男性 46 名?女性 58 名;平均 55±17 歳 ) SISI 検査 ? RION 株式会社製 AA-H1 を用いて 1kHz の閾値上 20 dB にて施行 ? SISI 値 60% 以上を聴覚補充現象陽性 DPOAE 検査 ? Otodynamics 社製 ILO V6 ? DPOAE レベル (2f1-f2 、 f2/f1 比 =1.22 、 L1/L2=65/55 dB SPL) 統計解析 ? JMP 9 (SAS Institute Inc. 、 Cary 、 NC 、 USA) ? t 検定、ロジスティック回帰分析、ピアソンの積率相関係数の有意性検定を適用した。 ? 統計学的有意水準は p < 0.05 とした。 対象と方法
  • 5. 聴覚補充現象陽性 ? 両側陽性 10 例 ? 片側陽性 19 例 ? 陰性 245 例 全症例数 片耳陽性 両耳陽性 メニエール病 25 5 2 内耳性めまい(メニエール病非定型例 ( 前 庭型 )) 23 0 1 低音障害型感音難聴 1 0 0 遅発性内リンパ水腫 2 1 0 前庭神経炎 15 2 0 良性発作性頭位めまい症 28 1 0 結果 S I S I 検査 全 274 例
  • 6. SISI 値と各周波数における DPOAE レベルの分布 R? = 0.0509 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 0 20 40 60 80 100 1.0kHz R? = 0.0918 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 0 20 40 60 80 100 1.4kHz R? = 0.1283 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 0 20 40 60 80 100 2.0kHz R? = 0.063 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 0 20 40 60 80 100 2.8kHz R? = 0.03 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 0 20 40 60 80 100 4.0kHz R? = 0.0294 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 0 20 40 60 80 100 6.0kHz 1 . 0 k H z 1 . 4 k H z 2 . 0 k H z 2 . 8 k H z 4 . 0 k H z 6 . 0 k H z SISI 値と各周波 数における DPOAE レベルと の間に有意な相関 はなし 全 104 例 208 耳
  • 7. 聴覚補充現象と各周波数における DPOAE レベル 聴覚 補 充 現象 陽 性 耳の D POA E レベ ル は 、陰 性 耳 に比 べ てい ず れ の周 波 数 にお い て も有 意 に 低か っ た 。 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 1.0k 1.4k 2.0k 2.8k 4.0kHz 6.0kHz Sum all 1/2 octave Ave DP 1/2oct(1-6) DPOAE level [dB SPL] 聴覚補充現象陰性 聴覚補充現象陽性 * * * * * * * * 全 104 例 208 耳
  • 8. ?DPOAE 検査における正常 / 異常の判定閾値はノイズレベル上 3 ~ 5 dB とされてい る ?DPOAE レベルの絶対値に基づいた聴覚補充現象の判定を推定 1k 1.4k 2k 2.8k 4k 6k all 1/2 octave averag e 1/2 octave DPOAE ???? ?????値 [dB SPL] 4.3 0.2 -1.1 -8.7 -7.8 -13.7 7.6 -1.4 感度 1 0.83 0.89 0.83 0.89 0.78 0.82 0.73 1- 特異度 0.61 0.35 0.38 0.35 0.44 0.41 0.31 0.30 ROC 0.70 0.75 0.80 0.74 0.70 0.69 0.78 0.74 聴覚補充現象と各周波数における DPOAE レベル 全 104 例 208